【どう見るこの相場】大量売却の個人投資家の行方

2016年1月12日 10:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<Q>個人投資家は売り基調と聞くが実際はどうなのか。

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■個人は昨年までの10年間で28兆円の売り越し、バブル時保有のヤレヤレ売り

個人投資家は売り基調と聞くが実際はどうなのか。

昨年1年間の月間売買状況で見ると個人投資家は、「1月」と「6~9月」の合計5カ月間は買い越したが、その他の7カ月は売り越している。買い越し分を差し引いた金額では、個人投資家は昨年1年間約4.9兆円の売り越しとなっている。

そうとうの金額の規模だが、誰が、買いに回っているのか。

外国人投資家が買っているように思われているが、実際は昨年の外国人投資家は約3300億円売り越している。買ったのは、金融機関、事業法人、投信などの国内のプロの投資家ということだ。当然、話題となっている年金関係の買いが多かったようだ。

個人投資家の売り越しは、昨年だけのことなのか。

実は、そうではない。データの取れる2006年以降でみると、個人投資家は、2008年に約1兆円、2011年に約580億円それぞれ買い越したほかは昨年までの10年間のうち8年は売り越している。差し引きでは、この10年で約28.6兆円もの大規模な売り越しとなっている。

なぜ、個人は売り越しているのか。

いろいろ考えられるだろうが、察するところ1998年のバブル当時の在庫株を株価上昇で利食い、あるいはヤレヤレ売りしていることが主因とみられる。アベノミクスのお陰ということになるだろう。

■制度面などで利回りにいっそうの魅力を

なるほど、考えられるね。20数年ぶりに手持ち株が上がってきたのだからね。それで、今後、個人が再び、買い越しに転じる可能性はどうだろう。

低金利だし、海外情勢が不透明で外債投資や中国株投資などもリスクがあるし、今更、人口減少の中で不動産投資でもないだろう。目ぼしい資金の運用場所はないから、いずれ株式に向かってくるものとみられる。ただし、条件として、(1)アベノミクス第2章で日本の経済が安定した成長に向かうという安心感が強まること、(2)東芝、住友建設などのように名門老舗企業に続いている不正を完全になくすること、(3)預金金利のように長期で預金すれば利率がよくなるといったことを株式でも余剰金を使って長期ほど利回りがよくなる策を考える、などが必要のように思われる。

相場にとってポイントとなる外国人投資家は今後どう動くか。

この10年でみると、2013年に約15兆円買い越した以外は、ほぼトントンといった状態だ。言うまでもなく、13年の買いは安倍政権誕生によるアベノミクスを好感したものだ。しかし、その後は日本の景気、企業業績が本格的に上向くかどうかを見極めようとしているものとみられる。とくに、昨年に続いて来年には2度目の消費税が控えており、消費税は財政再建にはプラスだが、景気と企業業績に対しては、消費税を吸収して良くなるだろうかという点を見ているだろう。その見極めがつくまでは、外国人投資家の売り越しはないだろうが、買い越しも見込めないように思われる。結局、1にも2にも、これからの相場は消費税を控えて政府がどう景気対策を打ってくるかにかかっているだろう。とくに、個人投資家は、20数年ぶりに手放した株を直ちに大きく買ってくるとは思えない。年金資金も枠いっぱいに近いところまで買っているように思われるから、個人投資家の買いが今後の相場のカギを握っているものとみられる。とくに、中長期投資スタンスの個人投資家は安倍政権が長期政権になるかどうかを注視しながら、日本の景気・企業業績が波乱の世界経済の影響をどのていど受けるかを見極めるものとみられる。突っ込み買いは予想されるが、上値を追ってまでの買いは期待できないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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