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【2015年振り返り】国内外の旅行動向、熱かったのは「インバウンド」だけじゃない
年間約4500万人の観光客が訪れる東京都台東区。上野・浅草のほか川を挟んだスカイツリーを含めて「古いものと新しいものが混ざっているところがいい」「日本の伝統を感じられる」と国内外の観光客から根強い人気を集めている。[写真拡大]
通信講座のユーキャンが発表したことしの流行語大賞のひとつ「爆買い」。ブランドショップや空港の免税店などでその光景を目の当たりにした人も多いのではないか。いまや町なかのドラッグストアやファストファッションの店でも「TAX FREE」の案内が大きく貼り出されている。ノミネートされた訪日外国人を指す言葉「インバウンド」も、この1年で一気に浸透した。
もちろんこれは数字も証明している。観光庁の発表によると、2015年1 月から11 月の訪日外国人数は約1796 万人で、累計の過去最高を更新した。円安の継続、消費税免税制度の拡充、航空路線の拡大、燃油サーチャージの値下がり、査証の免除や要件緩和などの様々な好条件が理由としてあげられている。
国別では中国が464万6700人でトップ、2位が韓国で358万6400人、3位が台湾で341万1300人だった。なお昨年は3トップの面子は同じだが順位は台湾、韓国、中国で、すべて200万人台だった。14年から15年にかけての伸び率では中国が2倍以上となる109.4%という断トツの数字を残し、2位は旅行者総数で4位にランクインしている香港の66.7%。総数で5位のアメリカの伸び率が15.3%にとどまっていることと比べても、訪日外国人急増の立役者は、近隣アジアにいたことが分かる。行き先としては東京、大阪、京都、北海道などが多く、東京ならスカイツリーや浅草寺、築地市場、大阪なら大阪城やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が各人気ランキングの上位に並び、観光地は新旧問わず人気を集めていることが分かる。
一方で、日本人の国内・海外旅行はどうだったのだろう。国内では娯楽の多様化による若者の「クルマ離れ」がささやかれ、海外では円安による旅行費高騰や治安の不安がついて回る。実際に日本人の海外旅行は12年をピークに減少を続けていた。出国日本人数は15年1~11月までの累計で前年比-4.1%の1487万2400人。9月以外の全ての月で前年を下回った。国内旅行も昨年までは微減傾向にあった。
しかし国内旅行は今年に入り復調を見せる。観光庁によると8月に主要旅行業者取扱額が16ヶ月ぶりに前年同月比でプラスとなり、現在の最新データである9月も同16%のプラスとなった。盛り上がりの筆頭は新幹線が開通した北陸や関西方面だ。石川県内の旅館の9月の客室稼働率は61.5%で全国トップとなり、ビジネスホテルの稼働率は9割近くになった。
影響は隣の県にも及び、福井県にある「一乗谷朝倉氏遺跡」では、ことしの年間観光客数が11月末時点で前年同期比56.6%増の106万2900人となり統計開始以来、初めて100万人を突破した。関西はUSJやあべのハルカス、兵庫の有馬温泉が人気だ。この圏内での回遊率を高めてもらおうと西日本ジェイアールバスが9月からUSJと有馬温泉を結ぶ高速バスの運行を始めた。
そしてJTBによると、この年末年始(12月23日~16年1月3日)の間に1泊以上の旅行に出かける人が、前年同期比0.2%増の3058万8000人となる見通しで、こちらも過去最高となるそうだ。海外旅行は円安や国際情勢への不安が高まりなどで4.3%減の62万8000人だったが、国内旅行が0.3%増の2996万人となり、全体の数字を押し上げた。
訪日客ばかりが注目された2015年だったが、国内でも旅行熱は旺盛だったといえる。16年3月には北海道新幹線の開業が控えており、5月には三重県の賢島で先進国首脳会議(サミット)が開かれ、世界に注目されるだろう。中国経済の見通しが埠不透明な中、観光業界の来年のカギを握るのは、日本人かもしれない。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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