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オーロラが急激に光り出す、「オーロラ爆発」のメカニズムを解明―京大・海老原祐輔氏ら
(上)人工衛星が撮影した宇宙から見たオーロラ爆発。オーロラは常に地球の極を取り囲むように光っている。これをオーロラ・オーバルと呼ぶ。オーロラ・オーバルの一部が突然明るく光りだし、明るいオーロラが北極方向、そして西向きに拡がる。その先端をサージと呼ぶ。(下)シミュレーションで再現したオーロラ爆発。今回の研究では、オーロラの突然の増光、西向きに動くサージというオーロラ爆発の特徴をスーパーコンピューターを使ったシミュレーションで再現できた。(京都大学の発表資料より)[写真拡大]
京都大学の海老原祐輔准教授らの研究グループは、スーパーコンピューターを用いた計算によって、オーロラが急激に明るく光り出す「オーロラ爆発」のメカニズムを解明した。
オーロラ爆発の成因については諸説があり、活発な議論の的となっていたが、その基本原理については明らかになっていなかった。
今回の研究では、超高精細な電磁流体シミュレーションを用いて地球近くの宇宙空間を模擬し、詳しく解析した。その結果、地球近くの宇宙空間でおこる磁力線のつなぎ替えをきっかけとして高緯度地方の上空に熱いプラズマが集まり、それらが自ら回転運動をはじめることで大電流を急激に作り出し、オーロラ爆発が始まることを突き止めた。
さらに、オーロラの近くで電気が余るために周囲のプラズマが回転運動をはじめ、宇宙空間に向けて薄い上向き電流を流すことでサージと呼ばれるオーロラ爆発特有の極めて明るいオーロラが現れることも明らかになった。
今回の成果はこれまでの定説を大きく覆すもので、研究チームは、オーロラ嵐の全容解明に向けて大きな突破口になることが期待されるとしている。
海老原氏は「美しいオーロラの核心に一歩近づいたかもしれません。はためくカーテン状のオーロラや渦巻くオーロラなどのオーロラらしさがなぜ現れるのか、その理由を全体システムの文脈で明らかにするとともに、オーロラと社会との関係を調べていきたいと思います」とコメントしている。
なお、この内容は「Journal of Geophysical Research」に掲載された。論文タイトルは、「Substorm simulation: Formation of westward traveling surge」。
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