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15年の老人福祉事業者の倒産は45件 過去最悪のペースで推移
高齢化社会を背景に、介護を中心とした高齢者向けサービス市場の拡大が期待されている一方、労働環境や賃金の問題から、現場スタッフの確保や資金面などで問題を抱える事業者は増え続け、同業者の倒産がピークを迎えている。帝国データバンクでは、2015年(1月~9月)の老人福祉事業者の倒産動向(法的整理を対象)について調査・分析し、その結果を発表した。
それによると、「2015年の老人福祉事業者の倒産は9月末時点で45件となり、2000年以降最悪となった2013年(46件)およびそれに次ぐ2014年(45件)に並ぶ水準となり、過去最悪のペースで推移している。
2000年以降(~2015年9月)に発生した倒産件数(累計)は300件となったが、そのうち2013年以降に発生した倒産(136件)が45.3%を占め、老人福祉事業者の倒産ラッシュが続いている。
45件を業態別にみると「訪問介護(在宅介護)サービス事業者、通所介護サービス(デイサービス)」が40件(構成比88.9%)で最多となり、そのほか「高齢者専用賃貸住宅サービス」が3件(同6.7%)、「有料老人ホーム」、「老人介護福祉施設」が各1件(同各2.2%)となった。老人ホームの倒産は1 件にとどまっているが、競争激化が進むにつれ、資金調達、入居者確保など事業計画が頓挫して経営悪化に陥る事業者が増加する可能性があるとしている。
さらに、倒産主因をみると、34 件(構成比 75.6%)が「販売不振」となったが、近年は人手不足に陥る施設の増加が大きな社会問題となっており、今後は、労働環境や賃金問題を起因とした人材不足を主因とした倒産の増加が懸念されるという。
負債額別にみると、「1億円未満」が38件(構成比84.4%)で最多となり、小規模事業者が大半を占めている。そのほか、「1億円~5億円未満」が5 件(構成比11.1%)、「5 億円~10 億円未満」が 2 件(同 4.4%)発生したにとどまり、10 億円を超える倒産は発生していない。
倒産態様別 では、45 件(構成比100%)すべてが「破産」となった。2014 年(45件の内訳=破産 41 件、民事再生法3 件、特別清算 1 件)、2013 年(46 件の内訳=破産42 件、民事再生法4 件)には事業継続型の民事再生法を選択する事業者が一部でみられたが、負債1 億円未満が84.4%と小規模事業者が大半を占めていることもあり、一定の事業規模を有してスポンサー企業の協力、債権カットなどで再建を図る事業者が減っているとした。
2015 年に入り、老人福祉事業者の倒産は過去最悪の水準で推移しているが、内訳をみると、初期投資のかからない小規模の在宅介護サービス、通所介護サービス事業者の倒産が約9割を占め、知名度の低さや資金力の問題から思うように集客できず、さらに4月からの介護報酬引き下げも加わって、事業継続の断念を余儀なくされる現状が浮き彫りとなったとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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