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体内時計が狂うと不妊症になりやすいことを明らかに―阪大・中村准教授ら
体内時計の概日リズムを制御する遺伝子を欠損させ、概日リズムが24.5時間となったマウスは、早期に性周期不整や不妊を起こしたが、24.5時間の概日リズムに調和させた明暗環境に置くと、性周期不整が改善し、妊娠成功率が劇的に上昇した。(大阪大学の発表資料より) [写真拡大]
大阪大学の中村渉准教授、高須奈々氏らの研究グループは、体内時計が狂ったマウスは、人間の30代半ば~40代に相当する年齢で性周期不整や不妊を起こすことを発見した。不妊症を改善する生活戦略の構築に役立てられる可能性があるという。
女性生殖機能では「視床下部-下垂体-性腺系(HPG軸)」が性周期を形成しており、それには体内時計中枢としてはたらく視床下部・視交叉上核の時刻情報が必須であることが知られている。
今回の研究では、体内時計の概日リズムを制御する遺伝子を欠損したマウス(CryKOマウス)を用いて調べたところ、通常妊娠出産が可能である早期加齢期8~12か月齢(ヒトで換算すると30代半ば~40代)に性周期不整や不妊を起こすことを発見した。さらに、このマウスの体内時計周期と明暗環境周期を調和させたところ、早期に発症する性周期不整が改善し、妊娠成功率は劇的に上昇することが分かった。
また、遺伝子欠損のない野生型マウスを、通常妊娠出産が可能である早期加齢期(8~12か月齢)に不規則な明暗環境条件におくと、性周期不整を起こした。これらの結果は、早期に発症する性周期不整・不妊などの生殖機能の加齢変化が、体内時計の機能に強く依存することを示している。
今後、平日と週末等に生じがちな生活リズムのズレを軽減するなど、体内時計の加齢変化を考慮した生活を送ることによって不妊症を改善する「サーカディアンタイミング戦略」がつくられることが期待される。
なお、この内容は「Cell Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Recovery from age-related infertility under environmental light-dark cycles adjusted to the intrinsic circadian period」。
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