着るだけで腰への負担を可視化できるセンサ内蔵ウェアを開発―北大・田中孝之氏

2015年9月19日 21:41

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北海道大学の田中孝之准教授が開発したセンサ内蔵ウェアの着用例。着るだけで作業中の腰の負担を可視化することができる。(北海道大学の発表資料より)

北海道大学の田中孝之准教授が開発したセンサ内蔵ウェアの着用例。着るだけで作業中の腰の負担を可視化することができる。(北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 北海道大学の田中孝之准教授が開発したセンサ内蔵ウェア。(北海道大学の発表資料より)
  • センサ構成(左)を示す図と、レントゲン撮影結果(右・赤)、推定結果(右・黒)。背面に配置したセンサ群によって非侵襲でレントゲン撮影と同等の腰椎形状の推定ができる。(北海道大学の発表資料より)
  • 姿勢計測による腰椎形状推定(上図右側)と同時に、筋骨格力学モデルに基づいた腰部負荷推定を行う(上図グラフ青線)ことで、リアルタイムに危険姿勢を警告することができる。(北海道大学の発表資料より)

 北海道大学の田中孝之准教授はニコンと共同で、着るだけで作業中の腰の負担を可視化することができる複数のセンサを内蔵したセンサ内蔵ウェアを開発した。

 様々な職場で、作業員の負担や疲労の軽減、特に腰痛予防が求められており、いつ、どのような作業で、どの程度の負担がかかるのかを察知することができれば、直接的に腰痛の要因となる危険姿勢を避けることができると考えられる。

 今回の研究では、腰ベルトやコルセットのように取り付けることができるセンサ内蔵ウェアを開発した。このウェアには、加速度センサと曲げセンサが内蔵されており、ウェアを着るとそれらが腰に密着し、内蔵したマイコンで各種計算、制御、データ保存ができるようになっている。

 さらに、内蔵バッテリで駆動でき、バッテリ込みで273gと軽量であり、かつ柔軟素材でできているため違和感なく装着できるという特徴を持つ。実際に介護施設において実証試験を行い、介護士の腰負担をリアルタイムに長時間計測し、記録することに成功した。

 北大によると、今後は、介護施設、労働現場で活用できる製品・サービスとしての展開を考えているという。作業中の腰負荷データを蓄積し、ビッグデータ解析することで、腰負荷の軽減、人員配置の最適化など、業務改善につながるソリューションの提供を目指す。

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