類人猿は一度見たドラマを覚えている―京大・狩野、平田氏

2015年9月18日 15:51

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テスト風景:モニターに動画が提示されて、その下に設置されたアイ・トラッカーで視線を記録する(京都大学の発表資料より)

テスト風景:モニターに動画が提示されて、その下に設置されたアイ・トラッカーで視線を記録する(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の狩野文浩霊長類研究所特定助教と平田聡野生動物研究センター教授は18日、チンパンジーとボノボが一度見た動画の内容を記憶していることを発見したと発表した。

 今回、アイ・トラッキングという視線を記録する装置を使って、類人猿がヒトと同様に一度見た出来事を覚えていることができることを見出した。京都大学熊本サンクチュアリで暮らす、ボノボ6個体とチンパンジー6個体を対象に実験を行った。

 実験では、まず彼らにとって興味深いと思われる、偽物だが類人猿が飛び出てくる動画を1回見せた。24時間後に、同じ動画をもう1回見せた。類人猿たちは、そのニセ類人猿が飛び出してくる前に、その飛び出してくる場所を予測的に見た。

 また、別の動画で、ニセ類人猿が人をたたいて、その人が2つの道具のうち1つを使って復讐するというシーンを見せた。24時間後に同じ動画を見せたところ、類人猿は、その人が使用した道具を、その人が道具を選択する前に選択した。

 研究者らは、ヒト以外の動物の長期記憶の能力が以前考えられていたよりも高いことを見出したとし、ヒトの特殊性・優位性に対する従来の考えを再考する必要があることが示されたとしている。

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