折り畳み・展開できるオリガミ構造物を従来の100倍の固さに―東大・舘知氏ら

2015年9月12日 22:29

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折り畳み式屋根のイメージ。今回の研究で開発された新規立体構造によって構造強度が期待できる。(東京大学の発表資料より)

折り畳み式屋根のイメージ。今回の研究で開発された新規立体構造によって構造強度が期待できる。(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 端の部分を駆動することで全体形状がすみやかに展開する様子(東京大学の発表資料より)
  • AとBは既存構造、Cは新規構造。それぞれ展開状態に対する固有値(剛性)の変化を示す。グレーの領域の上下幅が広いことは、設計上の変形モードの剛性に対して意図しない変形の剛性が大きく、理想的な構造である事を表す。D、E、Fは、A、B、Cの構造の上位3つの固有モードと固有値=剛性(λ)。(東京大学の発表資料より)

 東京大学の舘知宏助教らの研究グループは、折紙に基づく変形可能な立体構造を組み合わせることで、展開時に従来の100倍の固さを持つ折り畳み構造を開発した。

 ミウラ折りなど、シート材料を折紙のように折り畳むことで、ポータブルに収納し、必要に応じて三次元的に大きく展開できる構造物を作れることが知られている。しかし従来の折紙を使った展開構造物は、シート材料自体が曲がることで意図しない変形が容易におき、展開時に構造的な固さが得られないという制限があった。

 今回の研究では、折紙に基づく変形可能な立体構造を組み合わせた、新しい折り畳み方を開発し、この新しい折紙構造物の性質を固有値解析した。

 その結果、既存の折紙の筒型構造では、設計上の折り畳み変形に対する剛性と、意図しない変形に対する剛性の間に4倍程度の比しかなかったももの、筒型構造を特定の方法で組み合わせると設計上の折り畳みに対する剛性はほぼ変化しない一方で、意図しない変形に対する剛性が400倍以上になることが明らかになった。

 さらに、歪みの分布と幾何的な解析を通して、薄くて容易に曲がるシートで構築しても面の曲げ変形が起きない構造となることも分かった。

 今後は、本研究成果が、可動式の屋根、折り畳める建築物、航空宇宙分野の展開構造物、ロボットのアクチュエータなどに応用できることが期待される。

 なお、この内容は「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載された。論文タイトルは、「Origami tubes assembled into stiff,yet reconfigurable structures and metamaterials」。

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