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NICT、統合失調症を推定する新しい手法を開発
患者群と健常者群の脳部位モジュール解析(色の塗り分け)。 色の境界(塗り分け方)の類似性に基づいて判断する。(情報通信研究機構の発表資料より)[写真拡大]
情報通信研究機構(NICT)の下川哲也主任研究員と大阪大学の橋本亮太准教授のグループは、安静時の脳活動の脳画像データに対して脳内を活動の類似性で色分けすることにより、統合失調症患者群と健常者それぞれに特徴的な脳部位モジュールを推定する安定的な手法を開発した。
これまで、脳活動のfMRIデータ分析は、「脳のどの部位が記憶にかかわるか」といった、特定の部位を推定することに重きが置かれてきた。しかし、研究が進むにつれて、実際には、複数の脳部位の相互作用で、機能の発現や病気の発症に至っていると考えられるようになってきた。
今回の研究では、統合失調症患者の安静時脳活動のfMRIデータに対して、被験者間の差を考慮しつつ、従前の各個人でモジュール分け(色分け)する方法ではなく、新しい試みとして、平均化せずに、全員を一度に色分けすることにより、モジュール解析する手法を開発した。その結果、安定的に、統合失調症患者群と健常者群それぞれに特徴的な脳部位モジュールを推定することが可能となった。
統合失調症は医者が症状を診ることで診断されており、客観的な検査等による診断法は確立していないが、今回の手法は、患者の主観的意見に左右されない、脳画像のデータに基づく客観的な診断法につながるため、精神医学領域で注目される成果といえる。
今後は、医療の現場で実際に使えるような、医者の診断を補完する自動診断システムの開発に発展することが期待される。
なお、この内容は7月28日に「第38回日本神経科学大会」で記者発表された。
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