悪い面もあるが中国政府の行動は日本の10倍速い

2015年7月13日 08:02

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記事提供元:フィスコ


*08:02JST 悪い面もあるが中国政府の行動は日本の10倍速い
中国株式市場はわずか1ヶ月足らずで約30%も急落し、バブル崩壊の様相を呈している。これに対して中国政府は、1.大株主の株式売却を禁止、2.証券会社による一定価格以下での株売却を禁止、3.証券会社に資金を提供して株を買わせる、4.国有会社に中央銀行が資金を供給して株を買わせる等の対策を矢継ぎ早に打ち出した。また、現在中国証券市場は企業の約半数が「自主的」に売買停止を申請し売買できないため、約半数の銘柄は「事実上」下落が止まっている。中国政府は「悪質な」空売りについても捜査しているという。中国の対応は強権的で通常の資本主義国家の常識からすると想像を絶するものだ。
 中国株式市場はこの政府の強権的な行動により強引にいったんは底打ちの状況となっている。
 今回の一連の出来事から、世界は、中国株式市場は先進国等の株式市場とは全く異質な共産主義株式市場であることを再認識させられた。外資の参入も規制されていることからも、閉じられた歪みのある異質な世界ということができる。
 ただ、市場を歪め様々な問題も内包している対策だが、中国政府の意思決定と行動の速さは凄まじい。共産党一党独裁だからこそ国家目標の達成に向けて全くブレず、一直線に向かうことができるという特性がある。反対説を押しつぶすため自由主義や人権保障と緊張関係を引き起こしたり、方向自体が間違っていた場合は酷い結果となるが、こと経済対策については目標に向かう迅速な意思決定にはアドバンテージがないではない。
 日本はバブル崩壊後、問題を先送りし、行動が遅れて失われた20年を招いた。また、最近のギリシャの混迷や大衆迎合政治(ポピュリズム)をみると、大衆の感情によって政策を決定することがその国家にとって最適な意思決定ができることを全く保証しないことが分かる。民主主義は時間とコストがかかるうえに正しい選択ができるとは限らないのである。
 経済問題については、高度な見識を持つ賢人に権力を大きく集中させるか、国民全体の経済知識のレベルを向上させることが解決策となりうるが、日本を含め先進資本主義国は民主主義体制を取る以上、時間とコストをかけつつボチボチやって行くほかない。《YU》

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