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東工大、多環縮合構造の七宝文様高分子の合成に成功
五環4重縮合トポロジーの七宝文様高分子(赤で表示)と関連する多環状多重縮合構造高分子の「かたち」(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]
東京工業大学の平郡寛之氏・山本拓矢助教・手塚育志教授らの研究グループは、きわめて複雑な多環縮合構造の七宝文様高分子の合成に成功した。
鎖状、分岐状、多環状構造高分子を精密かつ自在に設計する合成プロセスに基礎を置いた高分子の「かたち」に基づくブレークスルー物性・機能の創出は、高分子材料化学・工学を超えてナノテクノロジーによる新材料創製を推進する基礎技術として期待されている。
今回の研究では、クリック法とクリップ法に必要な官能基(アルキン基、アジド基およびオレフィン基)を有する単環状と、双環状高分子前駆体をESA-CF法を用いて合成し、アジド基とオレフィン基を一つずつ有する単環状高分子と、アルキン基を二つ有する双環状高分子のクリック反応を銅触媒の存在下で行い、両端にオレフィン基を有する四環スピロ型高分子を合成した。さらにこの四環高分子前駆体を用い、ルテニウム触媒存在下、希釈条件でクリップ反応を行い、五環4重縮合トポロジー構造(七宝文様)高分子の選択的構築に成功した。
七宝文様は高度の対称性から家紋などに用いられてきただけでなく、トポロジー(位相)幾何学でもD4グラフとして知られ、最近はユニークな生理活性を示す多重折りたたみ環状オリゴペプチド(cyclotide)の構造との関連でも注目されている。そのため、研究グループは、今回のナノスケールでの七宝文様の構築が、高分子合成化学領域だけでなく、生化学からトポロジー幾何学にまで広くインパクトを与えることが期待されるとしている。
なお、この内容は「Angewandte Chemie, International Edition」に掲載された。論文タイトルは、「Folding Construction of A Pentacyclic Quadruply-fused Polymer Topology with Tailored kyklo-Telechelic Precursors」。
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