NYの視点:FOMCを控えて

2015年6月17日 07:08

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記事提供元:フィスコ


*07:09JST NYの視点:FOMCを控えて

今回の連邦公開市場委員会(FOMC)は金融政策を現行で据え置くことが見込まれている。景気回復ペースの鈍化を受けて、一部のエコノミスト、アナリストは利上げが来年以降になると見ている。国際通貨基金(IMF)や世界銀行もFOMCが年内に利上げを開始することを警告。一方、貿易赤字や小売、企業在庫などが改善し、FOMCの予測通り1-3月期の弱い経済が一時的にとどまる可能性も強まった、4-6月期の国内総生産(GDP)が期待通りに3%超成長へと成長ペースが加速するとの見方に年内の利上げ観測も再浮上しつつある。

利上げのタイミングを探るために会合後のイエレンFRB議長の記者会見やスタッフによる金利、経済の見通し(SEP:Summary of Economic Projections)で年内の利上げの可能性を探ることになる。イエレンFRB議長は、利上げについて記者会見が予定されていない会合でも実施する可能性を示唆しており、7月の可能性も除外されていない。連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げの条件として、1)インフレが2%の目標水準に上昇する自信が強まることと、2)更なる雇用市場の回復を挙げている。インフレの見通しが引き上げられると、利上げに一歩近づきドルの支援材料となる。


●経済の見通し(SEP:Summary of Economic Projections)の注目点

*国内総生産(GDP)見通し
ノムラのエコノミストはスタッフの見通しで2015年の国内総生産(GDP)の見通しが前回の2.3-2.7%から2.0-2.3%に下方修正されると予想。それ以降については、すでに前回の見通しで大幅に下方修正済みであるため、大幅な修正を予想していないようだ。

*失業率見通し
前回の見通しが発表された3月のFOMC会合以降、失業率は横ばい。労働参加者も小幅の増加にとどまっているため、見通しが修正される可能性は少ない。一部では、失業率が下げ止まったため、見通しが引き上げられる可能性を指摘しているエコノミストもいる。

*インフレ見通し
3月時点で、2015年のインフレが大幅に下方修正されたため、一段の下方修正は予想されていない。逆に、短期のPCEインフレ率では、原油価格が下げ止まったことなどから小幅上方修正される可能性も指摘されている。最近の賃金の上昇は、コアインフレで、2015年、2016年の見通しに明るい材料となる可能性がある。《NO》

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