九大、ヒトのウイルス糖尿病のリスク遺伝子を発見

2015年5月21日 12:15

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糖尿病患者におけるTYK2遺伝子多型の意義(相対危険度)を示す図(九州大学の発表資料より)

糖尿病患者におけるTYK2遺伝子多型の意義(相対危険度)を示す図(九州大学の発表資料より)[写真拡大]

 九州大学の永淵正法教授らの研究グループは、ヒトのウイルス糖尿病リスク遺伝子を同定した。

 糖尿病患者数は著しく増加しており、過食・運動不足などの生活習慣だけでなく、最近ではウイルス感染の関与も注目されている。平成27年3月には同グループが、マウスで、特定の系統で脳心筋炎ウイルス(EMCV)による膵臓β細胞破壊によって糖尿病が誘発される場合、糖尿病にかかるかどうかを制御しているのがインターフェロンシグナル分子であるTyk2遺伝子であることを見出している。

 今回の研究では、ヒトのTYK2遺伝子多型を健常人331名、1型糖尿病患者302名、2型糖尿病患者314名で検討した。その結果、多型が見られた割合は、健常人4.2%に対し、1型糖尿病患者9.6%、2型糖尿病患者8.6%であり、さらに1型糖尿病患者のうち、風邪(インフルエンザ様)症状の後発症した1型糖尿病患者では13.7%であることが分かった。一方、ランゲルハンス島自己抗体を有する1型糖尿病患者では7.4%と、自己抗体のない患者群12.8%と比較して、むしろ低い保有率であることが明らかになった。

 これらの結果は、この遺伝子多型が自己免疫1型糖尿病と関連する可能性は乏しく、ウイルス誘発糖尿病のリスクであること、さらに、そのリスクは、1型糖尿病だけでなく非肥満の2型糖尿病でも重要であることを示唆している。

 研究グループは、今回の研究成果が、ウイルス糖尿病になり易いヒトの同定、糖尿病を起こし易いウイルスの発見のほか、糖尿病誘発性ウイルスに対するワクチン開発による1型糖尿病の予防や2型糖尿病のリスク低下に向けた研究の進展に繋がるとしている。

 なお、この内容は「Science Direct」「EBioMedicine」に掲載された。論文タイトルは、「TYK2 Promoter Variant and Diabetes Mellitus in the Japanese」。

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