緑茶、コーヒーの摂取で死亡リスクが低減=国立がん研究センター

2015年5月8日 11:25

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コーヒー摂取と全死亡の関係を示す図(国立がん研究センターの発表資料より)

コーヒー摂取と全死亡の関係を示す図(国立がん研究センターの発表資料より)[写真拡大]

 国立がん研究センターは7日、緑茶摂取と、全死亡(すべての要因による死亡の合計)、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外因死を含む5大死因死亡リスクとの関連を検討した研究結果を発表した。この研究により、緑茶を習慣的に摂取する群では、男女の全死亡、心疾患、男性の脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクの減少が示された。

 同センターは、40~69歳の男女約9万人を研究開始(1990年または1993年)から2011年まで追跡した調査結果をもとに、緑茶の習慣的摂取と全死亡・主要死因死亡リスクとの関連を検討した。

 平均で約19年の追跡期間中に1万2,874人が死亡。そのうち、5,327人ががん、1,577人が心疾患、1,264人が脳血管疾患、783人が呼吸器疾患、992人が外因による死亡だった。

 解析の結果、緑茶を1日1杯未満飲む群を基準として比較した場合、1日5杯以上の群の全死亡リスクは、男性の全死亡0.87、女性の全死亡で0.83と低く、摂取量が増すにつれてリスクが下がる負の相関がみられた。

 死因別では、がん死亡との関連は男女ともみられなかったが、心疾患による死亡は男女とも低く、脳血管疾患と呼吸器疾患については男性でのみ低いという結果だった。

 緑茶摂取で心疾患などによる死亡リスクの低下がみられた理由については、緑茶に含まれるカテキン(血圧や体脂肪、脂質の調整)やカフェイン(血管保護、呼吸機能改善)などの効果が推定されるという。

 また同研究センターは、他にもコーヒー摂取と死亡に関する分析結果を発表した。それによると、コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低いことがわかった。

 さらに、飲む量が増えるほど、全死亡、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクが減少する傾向が、統計学的有意に認められたという。

 コーヒーの効果に関して同センターは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸の血糖値改善効果、カフェインの血管内皮の機能改善効果や気管支拡張作用などによるものではないかとしている。(記事:町田光・記事一覧を見る

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