金属や「糀」が何に生まれ変わる? 今、「地方創生」に求められるものとは

2015年5月2日 15:41

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記事提供元:エコノミックニュース

 日本マーケティング協会は2015年4月21日、優れたマーケティング活動を表彰する「日本マーケティング大賞」の2014年度各賞の発表を行った。第7回目となる今回、推薦プロジェクト総数183件の中から栄えある「第7回日本マーケティング大賞」に選ばれたのは、全国「道の駅」連絡会による『「道の駅」による地方創生マーケティング』だった。選出の理由として同協会は、「旅行者、地域住民、農産物生産者、地方自治体、道路管理者のすべてのステークホルダーがwin-winとなるビジネスモデルは斬新で、まさに日本発のユニークなマーケティング事例」としている。

 安倍内閣が重点政策の一つに掲げていることもあり、地方創生が今、日本経済活性化のためのキーワードとして大きな注目を集めている。今年1月に決定された2015年度の「地方財政計画」でも、地方自治体の一般財源は過去最大の61.5兆円に上り、なかでも地方創生のために1兆円の予算枠が新設されたことは大きな話題となった。


 地方創生では、「人口減少を止める移住促進策」「地方の経済活性化と人口交流を促進する観光振興策」「地方に生業を生み出す産業振興策」の3つの施策が重要と言われているが、前2つはともかく「地方に生業を生み出す産業振興策」は本来、国や中央組織が指示したり管理したりするものではなく、地域の生産者や民間企業や団体などが連携して進めていくことが理想なのではないだろうか。

 大手企業と、地域の特色ある中小企業や職人などとのコラボレーションは、これまでも頻繁に行われており、成功事例も多い。直近の例では、2015年2月に東京ビックサイトで開催された東京インターナショナル・ギフト・ショーに出品された人気雑貨店・アッシュコンセプトのキッチン商品「h×Made in TSUBAME」が、多くのバイヤーからの注目を集めていた。

 同商品は、江戸時代から金属製品製造業の中心地として名高い新潟県燕市の事業者とのコラボ商品で、氷や水を使わないアクリル樹脂のワインクーラー「クールキーパー」や2重構造の蓋で湿気を遮断するステンレス製の筒状ストッカーなど、いずれも燕市の高度な金属加工技術をちりばめた機能性とデザイン性を兼ね備えた計4つの商品を開発し、近々、アッシュコンセプトの販売チャネルなどを利用して、国内販売を開始する予定だ。ゆくゆくは業務用の販路開拓や、海外市場への進出も視野にいれているという。

 同じ新潟つながりでは、大手製薬会社のロート製薬<4527>が販売している人気スキンケア商品「糀肌」シリーズも面白い。天然の点滴といわれるほど栄養豊富な「糀(こうじ)」という素材に目をつけたロート製薬は、日本有数の米どころ新潟県で杜氏や蔵人とともに糀を作る専門店「古町糀製造所」と、地域貢献と日本の再活性化を目指す事業として共同開発を行い、2012年9月、日本初の独自開発成分・白糀コメエキス入りクリーム「糀肌くりーむ」を発売した。

 同商品は口コミを中心に評判が広まってロングセラーのヒット商品となった。その後にも開発された「糀肌せっけん」と「糀肌けしょうすい」も人気を博している。そしてこの度、「糀肌シリーズ」の日やけ止めが欲しいという顧客の声に応えたコラボ企画第4弾として、白糀コメエキス配合した「糀肌ひやけどめ」(SPF50+、PA++++)を開発し、2月より販売している。

 地方といえば、今、世間は「ご当地ゆるキャラ」が空前のブームだ。可愛いゆるキャラは、確かにインパクトも大きいし、地域のPRには持ってこいだ。しかし、どんなに沸いてもブームは一過性のもので、いずれ廃れる日がやってくるのが宿命だ。でも、長い年月をかけて地域の歴史の中で育まれてきた「ものづくり」の精神は、決して経年劣化するようなものではない。「地方創生」とは、地方で新しいものを創ったり生み出したりすることではなく、地域のヒトやモノを再発見し、再構築することなのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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