メルセデス・ベンツの中国独禁法違反、罰金67.6億円に決定

2015年4月24日 11:20

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記事提供元:フィスコ


*11:20JST メルセデス・ベンツの中国独禁法違反、罰金67.6億円に決定
メルセデス・ベンツに対する独占禁止法違反の罰則金の額が決定された。当初予想されていた10億人民元を大きく下回る額に取り決められている。江蘇省の物価局は23日、中国販売価格に下限を設けていた違反行為を巡って、メルセデス・ベンツに3億5000万人民元(約67億6000万円)の罰金を科すと発表した。年間販売額の7%相当に設定している。
不正が認定された期間は、2013年1月から14年7月にかけて。中国の「独占禁止法」で第13条、第14条、第46条、第49条に違反したと裁定した。Eクラス、Sクラスの完成車販売価格について、江蘇省内で口頭、またはディーラー会議で低く設定しないよう通知。下限を下回る価格で販売したディーラーに対しては、警告したり、補助を削減するなどの圧力、制裁を加えていたという。
販売ディーラーはまた、部品価格を高額に保ために結託。メルセデス・ベンツの要求を順守する形で、蘇州では10年11月から、南京と無錫では14年1月から販売価格を操作していた。販売ディーラーの罰金額は786万9000人民元。販売額の1%に設定した。
メルセデス・ベンツの中国新車販売は、14年に前年比29.1%増の28万1588台(過去最高)に膨らんだ。15年に関しては、内部目標で37万台(↑31.4%)に設定している。
すでに独フォルクスワーゲン(VW)や米クライスラーには罰金を科した。中国国家発展改革委員(発改委)の反独占禁止当局は14年9月11日、完成車や補修部品の価格設定に独占的な行為が存在していたと判断したと発表。VWとクライスラーの各中国販売会社や系列販売店に対し、合計3億1236万人民元の罰金を科すと通知した。
VWについては、販売会社の一汽大衆銷售有限公司が13年以降、湖北省の系列販売店8店と示し合わせた上で、「アウディ」の完成車や補修部品の価格を不当に高く設定していた——と説明。総額で2億7854万人民元の罰金を科す。内訳は、一汽大衆銷售有限公司が2億4858万人民元、販売店8店が合計で2996万人民元。「独占禁止法」に基づき、それぞれ前年の売上高の6%、1~2%に相当する額に設定した。
クライスラーについても、販売会社のクライスラー中国汽車銷售有限公司とその系列販売店3店が上海で価格を不当に吊り上げていたと判断。上海市物価当局が総額で3382万4100人民元の制裁金を科すことを決定した(うち、クライスラー中国汽車銷售有限公司が3168万2000人民元、販売店3店が合計で214万2100人民元)。
中国当局は海外の自動車・その部品メーカーに対する独禁法違反容疑の調査を本格化させている。さらに日本の自動車部品メーカー12社についても、価格操作などで独占禁止法違反があったと14年8月下旬に発表。調査に協力した日立オートモティブシステムズと不二越を除く10社(日本精工、NTN、愛三工業、デンソー、三菱電機、ミツバ、矢崎総業、住友電気工業、古河電気工業、ジェイクト)に対し、総額12億4000万人民元に上る制裁金を科した。

【亜州IR】《ZN》

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