(中国)パキスタンに原子炉5基輸出、総額150億米ドル

2015年4月22日 13:34

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記事提供元:フィスコ


*13:34JST (中国)パキスタンに原子炉5基輸出、総額150億米ドル
中国はパキスタンに対し、独自モデルの第3世代原子炉「華竜1号」を輸出する。国営の中国核工業集団(CNNC)がこのほど、「華竜1号」の提供に関する枠組み協定をパキスタン当局と締結した。計5基を総額150億米ドル(約1兆7950億円)で輸出する予定。輸出額は中国の原子力発電業界で過去最大規模となる見通しだ。地元メディアが22日伝えた。
中国はこれまで、原発分野でパキスタンとの連携を強化してきた。CNNCが現地に整備したチャシュマ原発は、出力32万5000kWの1号機が2000年、出力33万kWの2号機が2011年にそれぞれ運転を開始。カラチ原発の原子炉増設も受注している。同原発の2-3号機には、「華竜1号」が採用される運びだ。
中国が“自主開発”と主張する「華竜1号」はPWR(加圧水型原子炉)。国策企業のCNNCと中国広核集団(CGN)の2大原発企業が共同で開発した。CGNが持つCPR1000(フランス系)の改良第3世代炉「ACPR1000」技術と、中核集団が自主開発した第3世代炉「ACP1000」技術を融合。重大事故の予防措置などを強化した。
福島第1原発事故を受けて原発の新設認可を凍結していた中国では、昨年に入って、沿海部での原子炉建設を早期に再開する方針が明らかにされた。今年2月に紅沿河原発(遼寧省)の5-6号機、4月に福清原子力発電所(福建省)の5-6号機が相次いで建設認可を取得している。うち福清原発については、オリジナル原子炉の「華竜1号」が初めて設置される予定。
中国の習近平主席は21日までパキスタンを訪問していた。習主席はシャリフ首相と会談し、エネルギーやインフラ、金融など幅広い分野での戦略提携関係を築くことに合意している。うち水力発電所プロジェクトに関しては、中国が昨年末に創設した投資ファンド「シルクロード基金」が投資を行う予定。アジア地域の経済連携やインフラ整備を進める「一帯一路」構想を支える同基金として、最初の投資案件となる運びだ。

【亜州IR】《ZN》

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