問われる国会議員、マスコミ人のモラル

　国会議員が国民に負っている重責への自覚を疑う事案が相次いでいる。一方で、NHKをはじめマスコミに身を置く報道関係者の自覚を疑う事案も相次いでいる。国会議員は立法府に身を置く者としての責任、マスコミは伝える情報が事実であることの責任を負う国会議員とマスコミの相次ぐ問題。子どもたちへの影響を考えると由々しき事態であり、当事者は説明責任をきっちり果たすことが求められている。

　維新の党の上西小百合衆議院議員。3月13日の衆議院本会議での今年度予算案の採決を欠席し、翌々日に旅行に行っていたとの疑惑報道について、3日夜の会見で、旅行疑惑をきっぱり否定した。上西議員は「13日、本会議当日の数日前から嘔吐、腹痛、頭痛、悪寒をときたま発する状況で採決に耐えうる状況ではなかった」と説明。「医療機関の診断書を提出し、休暇を取らせていただいた。重要会議を前に体調管理できていなかったことは国民の負託を得た人間として甘さをお詫びする」とし「14日は自宅療養。15日、(旅行していたとの報道があるが)旅行に出かけていた事実は決してない。仕事の一環だった」と否定した。しかし、本会議当日前から嘔吐などがあったとしながら、予算案の採決を行う本会議の前日に飲食店を回っているのは不可解だ。維新の党の判断を注視したい。

　次いで、参院外交防衛委員会の片山さつき委員長(自民)。今年に入って2度の遅刻。涙を流し謝罪した。委員会が静まり返った。メモを読んでの釈明、お詫びに最後は涙。数分の遅刻だが、2度目の遅刻(3月30日の同委員会理事懇談会)に野党は抗議し、開催そのものが見送られる事態になった。外交防衛は今国会「最重要の案件」。前の予定が押しても時間厳守で対応すべきだった。

　一方、マスコミの問題も相次いでいる。NHK番組「クローズアップ現代」の「やらせ」疑惑。NHKは3日、局内に調査委員会を立ち上げた。来週中(11日まで)に途中経過を発表するとしている。その発表を注視したい。

　テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」。3月27日、キャスター古館伊知郎氏とのやり取りで、元通産官僚の古賀茂明氏が「今日が最後ということですね」と切り出し「テレビ朝日の早河(洋)会長とか、古館プロジェクトの佐藤(孝)会長の御意向ですね」と名指し。「菅(義偉)官房長官をはじめ、官邸の皆さんにはものすごいバッシングをうけてきた」と語った。

　古賀氏に名指しされたテレビ朝日会長と古館プロジェクト会長は定例会見の中ではなく、取り上げられた番組(報道ステーション)内で、自らの見解を示すことが筋だろう。政治的圧力や背景があったのかどうか、説明することが望ましい。

　日本テレビのアナウンサーのマンション購入資金問題。無利息で有力スポンサーから融資を受けている案件は特定企業関係者からの1億円を超える借用で無利息となると報道機関(テレビ局)に身を置く立場としてどうなのか。他企業の社員とは意味合いがかわるため、個人契約の問題で済むことなのか、素朴な疑問が残ったままになっている。(編集担当:森高龍二)

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