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東大、氷河期の直後に大気中の酸素濃度が急上昇することを明らかに
大気中酸素レベルの変遷と全球凍結イベントの関係(左)と生物の純一次生産に対する酸素レベルの変化(右)。赤線は、今回の研究で理論モデルを用いて得られた結果を示す(東京大学の発表資料より)[写真拡大]
東京大学の原田真理子大学院生・田近英一教授・関根康人准教授は、全球凍結イベント(地球表面全体が氷で覆われた超寒冷化現象)からの脱出直後に大気中の酸素濃度が急上昇することを明らかにした。
地球大気の主成分である酸素は、もともと大気中には存在しなかったが、いまから約24.5~20億年前の原生代初期に現在とほぼ同じレベルにまで急激に上昇した後、約1億年かけて現在の百分の一レベルにまで低下したと考えられている。しかし、その原因やメカニズムはよく分かっていない。
今回の研究では、全球凍結状態から脱出する際には、火山活動によって大気中に二酸化炭素が大量に蓄積され、地球全体がきわめて高温環境(~50℃)になり、地表面は激しい化学風化作用を受けて海洋にリンなどの栄養塩が大量に供給され、海洋では異常なほどの富栄養化が生じて光合成を行うシアノバクテリアの爆発的な大繁殖が引き起こされ、大量の酸素が生産されて一気に放出されるというメカニズムを明らかにした。
今後は、原生代後期における全球凍結と酸素濃度上昇の関係を明らかにし、酸素濃度上昇と生物進化の関係に注目して、酸化還元環境の遷移の生物進化への影響を解明することが期待されている。
なお、この内容は「Earth and Planetary Science Letters」に掲載された。
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