NYの視点:米3月雇用統計に下方リスク、利上げ正当化できるか

2015年4月2日 07:41

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記事提供元:フィスコ


*07:42JST NYの視点:米3月雇用統計に下方リスク、利上げ正当化できるか

投資家は、米雇用統計で「労働市場の一段の改善」を判断していくことになる。米連邦公開市場委員会(FOMC)が掲げている金利に向けたフォワードガイダンス「労働市場の一段の改善と、インフレが中期的な目標である2%まで上昇するとの理にかなった自信が生まれたときに利上げに転じる」で、米雇用統計の結果が果たして利上げを正当化できるかどうかに焦点が集まる。

給与明細会社ADPが発表した民間部門の雇用者数を示す統計の3月分は、雇用増加ペースの予想外の鈍化を示した。同統計は米労働省が発表する雇用統計と相関関係が最も強いと言われている。このため、米3月の雇用統計でも雇用が期待ほど増加しない可能性が警戒されている。ドル高や欧州、中国経済の低迷の影響を受けて低迷している製造業の雇用ペースの鈍化も目立つ。全米の製造業活動状況を示す民間の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数の雇用は50.0と2月 の51.4から低下。雇用は前月から横ばいということになる。

市場エコノミストは3月雇用統計で失業率が5.5%と2月と同水準を保ち、非農業部門雇用者数が前月比24.5万人増と、2月の29.5万人増から伸びが若干鈍化すると予想している。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)高官は持続的な20万人増の雇用を正常と見ているため、よほど下振れない限り、年内の利上げの可能性が大幅に後退することもないと考えられる。過去6か月の平均雇用は29.2万人。

■3月雇用統計の先行指標

・ADP雇用統計
前月比+18.9万人(予想:前月比+22.5万人、2月+21.4万人)昨年1月以降の低水準

・ISM製造業景況指数
雇用:50.0(2月 51.4)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):18.56(2月10.11)
6か月先予想:28.87(2月24.72)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):3.5(2月3.9)
6か月先予想:14.4(2月26.8)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):6(2月4)
6か月先予想:23(2月12)

・消費者信頼感指数

雇用(現状)
十分:20.6(2月20.3)
不十分:54.0(2月54.6)
困難:25.4(2月25.1)

雇用(6か月先予想)
増加:15.5(2月13.8)
減少:13.5(2月14.8)
不変:71.0(2月71.4)

■市場予想

失業率:5.5%(2月5.5%)
非農業部門雇用者数:前月比+24.5万人(2月+29.5万人)
民間部門雇用者数:前月比+23.5万人(12月+28.8万人)《KO》

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