NYの視点:米国の金融政策が立ち遅れるリスクも

2015年3月19日 08:18

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記事提供元:フィスコ


*08:21JST NYの視点:米国の金融政策が立ち遅れるリスクも

米連邦準備制度理事会(FRB)は注目されていた連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利を据え置き金利に向けたフォワードガイダンスを変更した。しかし、スタッフ予測では金利、成長、インフレ見通しを軒並み下方修正され早期利上げ観測が後退。イエレンFRB議長はまた、記者会見において「輸出を鈍化させる」として「ドル高」に言及したため、外為市場ではドル売りが加速した。

*FOMCポイント:

1.フォワードガイダンス変更も、性急な利上げを意味しない

米国の連邦公開市場委員会(FOMC)は市場の予想通り金利に向けたフォワードガイダンスで「忍耐強い"patient’」との文言を削除した。かわって、「労働市場の一段の改善と、インフレが中期的な目標である2%まで上昇するとの理にかなった自信が生まれたときに利上げに転じる」とのガイダンスに変更。ただ、イエレンFRB議長はこのガイダンス変更が「性急な利上げを意味するわけではない」と強調した。賃金の伸びの加速は「利上げの前提条件ではない」と加えた。

2.声明の中で経済判断を下方修正

経済判断は「成長はいくらか緩和した」と、前回12月会合の「経済活動は堅調なペースで拡大した」から下方修正した。

3.スタッフ予測、成長、インフレ、金利見通しを大幅に引き下げ

四半期ごとに発表される(Summary of Economic Projections(SEP))予測において、メンバーは2015年末時点の政策金利であるFF金利誘導目標の見通しを0.625%と、前回12月の1.125%から0.50%引き下げた。2016年末は1.875%(前回2.5%)、2017年末は3.125%(前回3.625%)へそれぞれ引き下げ。2名のスタッフは2016年まで利上げは正当化されないと見ていることも明らかになった。ただ、7名のスタッフが2015年末にFF金利誘導目標と0.50−0.75%で予想しており、9月の利上げ開始がコンセンサスのようだ。

また、2015年の国内総生産(GDP)の成長は中間値で2.5%と、2.8%から下方修正された。2016年は2.5%(前回2.75%)、2017年は2.2%(2.4%)へそれぞれ下方修正。コア個人消費支出(PCE)価格指数も2015年度は中間値1.35%と、前回12月1.65%から下方修正された。

2015年のFOMCメンバーはハト派が大半を占めており、全会一致での決定となった。今度は、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が後手に回る可能性が次のリスクと見られている。《KO》

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