九大、線虫を使って尿1滴で早期がんを診断できることを明らかに

2015年3月17日 16:19

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培養細胞の培養液に対する線虫の反応結果を示す図(九州大学の発表資料より)

培養細胞の培養液に対する線虫の反応結果を示す図(九州大学の発表資料より)[写真拡大]

 九州大学の広津崇亮助教らによる研究グループは、線虫が尿によって高精度にがんの有無を識別することができることをつきとめた。

 日本では、がんは1981年から死因第1位となっており、2人に1人ががんを経験し、3人に1人ががんにより死亡している。がんによる死亡を防ぐ有効な手段は、早期発見・早期治療であるものの、がん検診受診率は約30%にとどまっている。その理由としては、「面倒である」「費用が高い」「痛みを伴う」「診断まで時間がかかる」「がん種ごとに異なる検査を受ける必要がある」などが挙げられており、手軽に安価に高精度に全てのがんを早期に診断できるがんスクリーニング技術の開発が望まれていた。

 今回の研究では、がん患者には特有の匂いがあることに注目し、線虫「C. elegans」と呼ばれる嗅覚受容体を約1200種有する嗅覚の優れた生物を使って、がんの匂いと、その受容体の同定を試みた。その結果、線虫はがん細胞の培養液に誘引行動を示すことが分かった。さらに、人間由来の試料に対する線虫の反応を調べるため、がん患者の尿20検体、健常者の尿10検体について線虫の反応を調べたところ、全てのがん患者の尿には誘引行動を、反対に全ての健常者の尿には忌避行動を示すことが明らかになった。

 今後は、本研究成果によって、尿1滴で様々な早期がんを短時間に、安価に(数百円)、高精度に(約95%)検出できるようになると期待されている。

 なお、この内容は「PLOS ONE」に掲載された。

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