東大、最も上昇流の激しい積乱雲が最も強い雨を降らすわけではないことを発見

2015年2月28日 10:46

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極端降雨イベントと極端対流イベントの概念図(東京大学の発表資料より)

極端降雨イベントと極端対流イベントの概念図(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の濱田篤特任研究員・高薮縁教授らによる研究グループは、最も激しい上昇流を伴う積乱雲システムから最も強い雨が降るわけではないことを明らかにした。

 一般に、雨の瞬間的な強さは、その雨をもたらす積乱雲の活発さに比例しており、これまでは極端に強い雨(極端降雨)についてもこの考え方が当てはまるとされてきた。

 今回の研究では、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の降雨レーダにより11年間の降雨の立体観測データを用いて、雨の強さが最も強い極端降雨の発生と、雨雲の高さが最も高い極端対流の発生を観測データから抽出した。その結果、極端降雨は相対的に低い雨雲に伴っていることが分かり、積乱雲の高さで雨の強さを推定する慣例が、極端降雨には当てはまらないことが明らかとなった。

 今後は、高解像度数値天気予報モデルの降雨表現の検証・改良へ繋がると期待されいる。

 なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。

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