阪大、老化によって動体視力が低下するメカニズムを解明

2015年2月8日 21:30

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A.視細胞シナプス(赤紫)と双極細胞(緑)の染色像とB.シナプス形成位置異常の模式図(大阪大学の発表資料より)

A.視細胞シナプス(赤紫)と双極細胞(緑)の染色像とB.シナプス形成位置異常の模式図(大阪大学の発表資料より)[写真拡大]

  • マウスの視覚機能を調べるために、動体視力を調べた(左)。その結果、野生型に比べて4.1G欠損マウスでは動体視力が低下していた(右)(大阪大学の発表資料より)

 大阪大学の古川貴久教授・佐貫理佳子助教らによる研究グループは、網膜視細胞のシナプスが正常な位置に形成される仕組みと、それが動体視力に必須であることを明らかにした。

 網膜では老化に伴って視細胞のシナプス位置が移動することが知られているが、その意義やメカニズムは解明されていなかった。

 今回の研究では、視細胞のシナプス側の膜輸送に関わる4.1Gタンパク質の遺伝子が欠損したマウスを調べたところ、本来は細胞体層の外側にある外網状層に形成されるはずの視細胞のシナプスが、細胞体のそばで異所性に形成されていることが分かった。また、シナプスの位置の異常は4.1Gタンパク質を介した膜輸送機能が低下することによって生じることや、このマウスの動体視力が低下していることも明らかにした。

 これらの成果から、網膜のシナプス位置の維持が正常な視覚機能に重要であることが明らかになった。今後は、高齢者の加齢による視機能低下のメカニズム解明や、脳の正常な神経回路と脳機能を維持する手段を見つけるための手がかりになると期待されている。

 なお、この内容は2月5日に「Cell Reports」に掲載された。

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