中国:元安は「人民銀のストレステスト」か、変動幅拡大観測も浮上

2015年1月30日 09:01

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記事提供元:フィスコ


*09:05JST 中国:元安は「人民銀のストレステスト」か、変動幅拡大観測も浮上
人民元の対米ドル相場が大きく下落している。今月26日以降の4営業日のうち、許容変動幅(上下2%)近くまで元安が進む場面が3回見られた。ただ、中国人民銀行(中央銀行)はこうした局面を黙認し、一定の元安を許容している状況だ。一部の市場関係者は、「人民銀のストレステスト」だと指摘している。地元メディアが29日伝えた。
中国にとって元安は、輸出支援につながるプラスの側面を持つ。ただ、急ピッチに通貨安が進めば、国内からの資金流出が一気に加速する恐れもある。人民銀は今回のストレステストを通じ、現時点で資金の流出圧力が流入圧力よりも強いことを確認したかったのではないか——と指摘されている。
このほか、人民元の許容変動幅が近く、2→3%へ拡大されるとの観測も浮上している。人民銀は昨年3月、1日当たりの許容変動幅を「基準値の上下1→2%(対米ドル)」に拡大した。
29日の上海外国為替市場では、人民元の対米ドル相場が一時1米ドル=6.2542人民元を付け、再び「ストップ安」水準に接近。基準値に対する下落率は1.96%に達した。人民元相場が「ストップ安」水準に近づくのは、26日、28日に続いて3回目となる。
欧州中央銀行(ECB)が先週、予想以上の規模の量的緩和(QE)実施を決定したことで、人民元相場の下押し圧力が強まるとみられている。興業銀行チーフエコノミストの魯政委氏は、15年は通年で、最大5%の元安・ドル高が進むと予測した。

【亜州IR】《ZN》

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