米デトロイトショーで公開された市販型ホンダNSXの詳報

2015年1月17日 20:42

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

キャビンフォワードなパッケージングはスーパースポーツの機能性を高次元で融合したクラシカルなミッドシップスポーツのそれだ

キャビンフォワードなパッケージングはスーパースポーツの機能性を高次元で融合したクラシカルなミッドシップスポーツのそれだ[写真拡大]

 ホンダは、先般2015年1月12日に開幕した「北米国際自動車ショー2015(The North American International Auto Show 2015/NAIAS/通称:デトロイトショー)」で、米Acuraブランドの新型スポーツカー「NSX」を公開した。2015年夏に受注を開始し、同年秋に生産をスタートさせる計画である。価格は15万ドル(約1800万円)からだという。

 新型NSXは軽量なボディに、走りと燃費性能を両立した高効率・高出力の3モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD(Super Handling-All Wheel Drive)」を搭載した、新しいメカ満載のスーパースポーツモデルだ。新型NSXのSPORT HYBRID SH-AWDは、エンジンと高効率モーターを内蔵した2ペダル方式の9速デュアル・クラッチ・トランスミッションを組み合わせる。

 この「SPORT HYBRID SH-AWD」は、ドライサンプ潤滑方式を採用した直噴V型6気筒ツインターボエンジンと高効率モーターを内蔵した9速デュアル・クラッチ・トランスミッションをリア・ミッドシップに搭載し、四輪の駆動力を電動で制御するシステムを搭載したハイブリッドシステムなのだ。システムの最高出力は550ps(405kW)以上とみられる。

 加えて、その駆動システムは、前輪を駆動する左右独立した2つのモーターによるTMU(ツインモーターユニット)を組み合わせ、四輪の駆動力を自在に制御するトルクベクタリングを実現。四輪の駆動力を自在に制御してハンドリング性能を高めた電動式四輪駆動システムを搭載したハイブリッド・スーパースポーツだ。

 つまり、今回の2世代目となる新世代NSXは、1980年代のミッドシップ・フェラーリに倣った初代NSXのある意味で“コンサバティブとも言える手法”で開発したスーパースポーツとはまったく違う、超先鋭的なシステムが詰まったスーパーカーだということ。

 1990年にデビューした初代NSXの登場から25年、今回の新型NSXは米国オハイオ州にあるホンダR&Dアメリカズで開発された。それ故、新型NSXは日本ではなく、米国オハイオ州のメアリズビル四輪車工場の隣接地に位置する「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で量産される。米国での発売は2015年後半を予定しているという。今回、デトロイトではデザインやスペックなどに加え、米国での販売価格を約15万ドルからとし、今年夏からオーダー受付を開始することも発表した。

 エクステリアデザインは「Interwoven Dynamic」をテーマに、エキゾチックなフォルムとスーパースポーツの機能性を高次元で融合した。キャビンフォワードなパッケージングはクラシカルなミッドシップスポーツのそれだ。またエクステリアデザインを構成する各部は、安定性を高めるダウンフォースの発生や、エンジン冷却のための効果的なエアフローマネジメントなどの機能性を表現。オハイオ州にある最先端の風洞実験施設でテストを重ね、高い空力性能を達成したという。ボディサイズは、全長×全幅×全高4470×1940×1215mm、ホイールベースは2630mm。2013年に公開したコンセプト車よりも全長が約80mm伸びている。

 「Human-Support Cockpit」としたインテリアデザイン・コンセプトは、あくまでドライバーが運転に集中できるコクピットデザインとした。格段に優れた前方視界や、カラー液晶ディスプレイによる優れた視認性を実現したメーターパネル、シンプルで直感的なインターフェース、サポート性や乗降性に優れた人間工学に基づくシートなどが自然なレイアウトで配される。スーパーカーにありがちな、視界の狭さや乗降性の悪さは排除されているという。

 TMUは、プラスのトルク(駆動力)のみならず、マイナスのトルク(減速力)をも自在に制御する高度なトルクベクタリングを実現しており、全速度域でのライントレース性を画期的に高めた。これによって、ドライバーの能力を最大限に引き出すという初代NSXのテーマを継承し、ドライバーの意思に極めて忠実に呼応する新時代のスポーツカー操縦体験を提供する。

 「Integrated Dynamic System」は、「Quiet」「Sport」「Sport+」「Track」の4つモードをダイアル操作で切り替えて、エンジン、モーター、トランスミッションやシャシーのレスポンスを高精度に制御する。Trackモードでは、新型NSXの極限の動力性能を発揮することができるサーキットモード。また、Quietモードは、低速域においてEV走行による静粛走行も可能。さらに、新型NSXは、発進時にエンジンと3モーターをフル活用した加速を実現する「ローンチモード」も備える。

 軽量なオールアルミニウム製の独立懸架前後サスペンションには、フロント19インチ、リア20インチサイズのタイヤ&アルミホイールが組み合わされる。同時に、フロント6ポット、リア4ポットのモノブロックキャリパーとカーボンセラミックブレーキディスクを組み合わせたブレーキシステムは、超強力で自然な制動力を発揮する。

 この新型NSXを量産する米国「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」では、高度に熟練したおよそ100名の従業員がボディ製造、塗装、最終組み立てまでを担当する。少量生産のスーパーカー製造では、外部サプライヤーによるボディ製造が一般的だが、ボディ製造から最終組み立てまでを完全内製化することで、NSXは極めて高品質な商品となるという。(編集担当:吉田恒)

■関連記事
新成人が自動車購入時にかけられる予算189万円での車選び
マツダ、2月発表の「CX-3」に次いで、5月に新型「ロードスター」投入
今年はオープンカー豊作の年。オープンカーと長く付き合う秘訣とは
2015年、Honda新世代エンジン搭載車が続々デビュー、まず「STEPWGN」から
生産終了から10年、いま新たなホンダ・スポーツ「NSX」が登場する

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事