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NYの視点:2015年の米利上げ観測が弱まる
*07:04JST NYの視点:2015年の米利上げ観測が弱まる
米商務省が発表した12月小売売上高は前月比0.9%減と、異例な寒波の影響で落ち込んだ昨年1月以来の大幅な減少となった。減少率は市場予想の0.1%を上回ったほか、11月分も0.7%増から0.4%増へ下方修正された。ガソリン価格の下落を受けたガソリンスタンドの販売の減少が影響しただけでなく、幅広い分野で落ち込みが見られた。米連邦準備制度理事会(FRB)高官や多くのエコノミストが期待している原油価格の下落が消費を押し上げている兆候は今のところ見られない。
変動の激しい自動車やガソリンを除いた小売も0.3%減と予想外に昨年1月以来のマイナスに落ち込んだ。自動車を除いた小売売上高は前月比1.0%減と、景気後退時2009年3月以来で最低となった。国内総生産(GDP)の算出に用いられる食品、建築材、ガソリンスタンドでの売り上げなどを除いたコアの小売売上高は0.4%減と、やはり予想外に1月来のマイナス。ガソリン価格の下落やクリスマス、年末商戦で売上が伸びるとの期待が高まっていたただけに余計に失望感が強い。賃金の伸びが低迷していることが小売が抑制されている原因のひとつとして挙げるエコノミストもいる。
英バークレイズ銀のエコノミストは10-12月期の米国内総生産(GDP)成長見通しを従来の3.6%から3.4%へ引き下げた。原油価格の下落の消費への影響は予想を下回る可能性があると指摘。米ゴールドマンサックスも10-12月期のGDP成長見通しを3.1%から2.8%へ引き下げ。12月の小売売上高は「かなり落胆する結果」と加えた。米バンク・オブ・アメリカメリルリンチは米10-12月期GDP成長見通しを3.8%から3.4%へ引き下げた。小売売上高の結果は2015年の1-3月期も低調なGDPを示唆すると指摘。同時に、消費の基盤改善にともない2015年経済は3.5%成長に加速すると楽観的な見方を示した。
欧州や日本でインフレが思ったように上昇せず目標到達が危うい環境下で、米国だけが利上げを開始することがだんだん困難になってきている。2015年の利上げ観測も後退しつつある。これに伴い投資家のドル買い意欲も弱まった。《KO》
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