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広がる「ハラル認証」 ホテルやレストランの他、化粧品やカラオケも
イスラム教徒は戒律に沿って、豚肉やアルコールなどが禁じられている。それは飲食品のみならず化粧品や医薬品にも及ぶ場合があり、細かな配慮が求められる。そうした基準をクリアし、安心して食べられる飲食品や化粧品などが、ハラル認証品と呼ばれている。[写真拡大]
2014年、訪日外国人数は1300万人を突破した。イスラム教圏からの旅行者も増える中、注目されているのが「ハラル認証」だ。イスラム教徒は戒律に沿って、豚肉やアルコールなどが禁じられている。それは飲食品のみならず化粧品や医薬品にも及ぶ場合があり、細かな配慮が求められる。そうした基準をクリアし、安心して食べられる飲食品や化粧品などが、ハラル認証品と呼ばれている。
旅行者の増加を受け、日本国内の外国人向けホテルやレストラン、飲食品メーカーなどが続々とハラル認証を取得、また認証食品の輸入を行っている。昨年12月には、東京赤坂に「東京ハラルレストラン」がオープン。食材はもちろんのこと、ハラル専用キッチンを使い、ムスリムの料理長が腕を振るう。大使館も近くにあり、外国人の多い赤坂という立地を活かし、日本在住のイスラム教徒や観光客に安心して食べられる料理を提供している。
ハラル食品の輸入や製造に動く企業も増え始めている。キューピー〈2809〉とケンコーマヨネーズ〈2915〉は1月、ハラル認証対応のマヨネーズを日本国内で販売開始予定だと発表した。まずはホテルや機内食など業務用を中心に、需要を拡大させていく狙いだ。日本通運〈9062〉もマレーシアでハラル食品の物流輸送に関する認証を取得。マレーシア内での物流業務の他、日本へのハラル食品輸入も視野に入れているようだ。
食品の他、化粧品でもハラル認証に向け動きが見られる。化粧品メーカー・石田香粧を中心とした中小化粧品メーカーのグループが、ハラル化粧品の試作品を作製した。お祈りのたびにメイクを落とす必要のあるイスラム教徒の女性にとって、化粧品は大切な生活必需品だ。市場は大きいが、大手化粧品メーカーは、資生堂〈4911〉が12年にベトナムの工場でハラル認証を取りマレーシアなどで販売を行ったものの、それ以上の展開には慎重な姿勢を見せている。食品に比べ化粧品のハラル対応は個人差や好みがあることから、需要がまだそれほど強くないと考えられてきたからだ。大手がそうした姿勢でいる間に、中小の化粧品グループがハラル化粧品市場で先手を取った形となった。まだ試作段階だが、石田香粧を中心としたグループの市場展開に期待したい。
他には面白いところでは、昨年末に東京四谷に日本初となる「ハラル飲食メニュー」と「礼拝」に対応したカラオケ店がオープンした。このように、昨年末から続々とハラル認証については動きが加速しつつある。いずれの業界も「東京五輪までにハラル認証を増やしたい」と目標を掲げている。5年後には、日本の多くの場所で当たり前にハラル認証料理が食べられ、化粧品などが売られているようになっているかもしれない。文化・宗教の違いを越えた相互理解が進むことを期待したい。(編集担当:久保田雄城)
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