12月の「円安」関連倒産は18件 2014年通年では278件で前年比2倍に

2015年1月5日 23:14

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円安関連倒産の月次推移を示す図(東京商工リサーチの発表資料より)

円安関連倒産の月次推移を示す図(東京商工リサーチの発表資料より)[写真拡大]

 東京商工リサーチは5日、12月の「円安」関連倒産の件数が18件(前年同月比38.4%増)だったと発表した。

 日銀の追加金融緩和の決定以降は、円安に拍車がかかっており、2014年12月5日の外国為替市場は、一時1ドル=121円台まで円安が進んだ。これは、2007年7月以来7年4カ月ぶりの円安水準である。

 急速な円安は、輸出企業の収益を押し上げるが、海外からの輸入に頼るエネルギー、資源、食料品など幅広い分野では物価を押し上げ中小企業の体力を消耗させる。

 12月は全体の倒産が、中小企業に対する年末資金の円滑化が図られるなどで抑制されたため、前年比38.4%増にとどまったが、今後、業績回復の遅れに加え、円安によるコストアップが収益悪化を招き、一層の業績下振れが危惧される。原油価格の急落や需要減からガソリン、鋼材など価格が下落している商品もあるが範囲は限定的にとどまっている。このため円相場の推移次第では、倒産の増勢が懸念される。

 2014年(1-12月)の「円安」関連倒産は278件(前年同期比100.0%増)にのぼり、前年に比べて2倍増で推移した。年間の産業別では、運輸業が100件(構成比35.9%)で最多。人手不足による人件費アップや燃料価格の高止まりが影響した。次いで、製造業58件(同20.8%)、卸売業49件(同17.6%)、サービス業他27件(同9.7%)、小売業17件(同6.1%)と幅広い業種に及ぶ。(記事:宮野 浩・記事一覧を見る

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