産総研、多結晶ゲルマニウムトランジスタの大幅な性能向上に成功

2014年12月23日 12:22

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 産業技術総合研究所(産総研)が12月16日、N型多結晶ゲルマニウムトランジスタの性能を大幅に改善するという技術を開発したと発表した(プレスリリース)。

 電子回路の素人であるタレコミ者としては、ゲルマニウムトランジスターラジオキットの半田付けでリード線に吸熱アルミクリップが必須だった程熱に弱いゲルマニウムトランジスタで、電熱ヒーター並みと称される集積回路ができるものなら凄い話だと、素直に感動する。

 多結晶ゲルマニウムは多結晶シリコンと比べて低い温度で形成できるのが特徴で、より高速、より低電圧での動作も期待できるとされている。しかし、多結晶ゲルマニウムによるN型トランジスタは電流駆動力が低いという問題があった。

 今回開発された技術は、フラッシュランプ・アニール(FLA)法による熱処理後、N型不純物としてリンを注入、その後再度FLA法による熱処理を行うことで、N型多結晶Ge膜を生成するというもの。この方式で作成した多結晶Ge膜は単結晶シリコンを上回るホール効果移動度を持っており、またこの技術を使って作成したトランジスタはほぼ同サイズの多結晶シリコンを使ったN型MOSFETと同等の性能を持つことが確認されたという。

 今後は、多結晶ゲルマニウムを使ったP型トランジスタとN型トランジスタを組み合わせた集積回路の作成や、LSIの作成を目指すという。

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