カンブリア紀に進化が集中した理由は地球の酸素濃度にあった?

2014年11月17日 12:45

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記事提供元:スラド

taraiok 曰く、 ダーウィンは進化を「長期間かけて次第に変化する速度の遅いプロセス」だと考えていた。しかし、地球の45億年以上の歴史の中で、生物の進化は約5億年前のカンブリア紀に集中している。これは進化論と矛盾する可能性があり、ダーウィンのジレンマと呼ばれることがある。最近、このダーウィンのジレンマの解決につながる可能性のある2つの証拠についての論文が提出されたという(ABC NewsScienceSlashdot)。

 Christopher Reinhard氏およびGeorgia Institute氏が先週発表した論文によると、科学者たちは長い間、カンブリア紀以前の地球の酸素量を過大評価していたと指摘している。カンブリア紀以前の地球では現在の酸素量の40%の酸素があると考えられていたが、古代堆積物を調査した結果、実際は現在の酸素量の0.1%以下であったとしている。

 もしこれが正しければ、複雑な生物は少ない酸素で世界では生き残れないことから、カンブリア紀以前の地球は進化に値する状況にはなかったと考えられる。

 また、The journal Geologyに掲載された別の論文によれぱ、先カンブリア紀の地殻変動により古代の海の酸素レベルが急激に飛躍した可能性があるいう。このことは、カンブリア紀に栄養素が豊富な海域が広がったことを意味しており、カンブリア紀にカンブリア爆発が起きる下準備が整ったことを示唆している。つまり、カンブリア爆発は神秘的なものではなく、ダーウィンの進化論とも矛盾しないのではないかとしている。

 (編注:ABC Newsの記事には「大気中の酸素濃度は現代の約2倍の40%」という旨の記述があるが、カンブリア紀以前の酸素濃度は現代の酸素濃度と比べて低かったとされているので、「現在の酸素量の40%」が正しいと思われる。phason氏のコメントもご参照ください)

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