物色銘柄に気迷い感強い、中間決算発表までは出遅れ銘柄でお茶を濁す展開=犬丸正寛の相場展望

2014年10月3日 16:33

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  アメリカでエボラ熱出血患者がみつかり約100人が観察対象になっているという。拡大を懸念してNYダウは大きく下げた。さらに、今日(3日)発表の9月雇用統計の好調見込みから金利引上げが早まりそうだとの観測もある。

  NYダウについては、これらの推移を見守るよりしかない。ただ、2日(木)のNYダウが、かなり長い、「下ヒゲ足」となるなど突っ込みに対する警戒感もある。仮に、悪材料が出ても、あと2~3本、下ヒゲ足をつければ底値感が台頭することになろう。

  日経平均は、NYダウに対し0.93~0.97倍の間で動いているからNYダウ次第であることには変わりはない。ただ、大きい材料としては、消費税10%実施有無の判断が刻一刻と近づいていることだ。

  財政改善のことを考えれば実施したいのは当然だろうが、現実の景気停滞が許してくれない。とくに、大企業の景況観はよくても非上場企業の中小企業はよくない。大企業の牽引によって中小企業、あるいは地方経済への波及効果を狙う策も限界に来ているようだ。円安を使って大手企業の業績を良くしても、逆に中小にとっては原材料、燃料の高騰で円安はマイナスに作用している。

  このままでは、消費税10%にはゴー・サインは出し難い。加えて、北朝鮮の引き延ばしで期待された内閣支持率も下降傾向を示している。人質問題解決→内閣支持率上昇→消費税10%実施のシナリオが難しくなっている。

  1ドル・110円まで進んだ円安がどう展開するか。引き続き円安政策で一部大手企業に牽引してもらう策を採るのか。あるいは、中小企業及び庶民生活に配慮して円安には頼らないのか。難しいところに来ている。

  それでも、上場企業の業績が良く、日経平均の予想1株利益は1020円台で高水準をキープしていることから日経平均が下げ基調に転換することは考え難い。

  ただ、マーケットにおける物色対象は完全に気迷い状況にある。円安が進むのかどうか、地方創生、女性活用の政府戦略は長期では注目できても短期では買える材料ではない。

  加えて、10月後半から9月中間決算の発表が控えていることがある。円安関連銘柄は好調が予想されるものの、円安デメリット銘柄も予想される。元気のよかったマザーズ、ジャスダックなど小型先駆銘柄には疲労感が漂っている。

  結局、決算が発表となるまでは出遅れ銘柄でお茶を濁す展開の相場だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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