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認知症高齢者の消費者トラブル、過去最高の1万件を記録
認知症の高齢者を狙い、金銭をだまし取る消費者被害が後を絶たない。国民生活センターによると、60歳以上の認知症高齢者による相談件数は、13年に約1万1000件で過去最高となった。健康食品を送りつけて代金を請求する商法や、ふとんや住宅リフォーム工事などの訪問販売によって高額な契約をさせるケースが増えている。最近では、インターネットに関連した通信回線契約のトラブルも多くみられるようになった。今後は急速な高齢化に伴い、認知症の患者数も増えていくことから、国民生活センターでは周囲の注意を呼びかけている。
認知症の高齢者をターゲットにした詐欺は、2005年、埼玉県富士見市に住む78歳と80歳の認知症の姉妹が、3年間に5000万円以上のリフォーム工事を繰り返し、代金が払えず自宅が競売にかけられた事件がきっかけで、広く知られるようになった。全国の消費生活センター等に寄せられた60歳以上の認知症等高齢者の相談件数は、05年に約9000件まで増加。その後は08年まで減少が続いていたが、09年からは再び増加に転じ、昨年は過去最高を記録している。
近年の特徴は、被害者の高齢化だ。60歳以上の認知症等高齢者と高齢者全体で、被害者の割合をみると、高齢者全体では80歳以上が約2割なのに対し、認知症の高齢者では80歳以上が約7 割と大幅に高くなっている。相談者は家族やホームヘルパーなど、本人以外が8割を占めており、周囲のサポートがなければ、被害が潜在化する恐れが高い。本人以外からの相談のうち約15%は、家族などの個人からではなく、ホームヘルパーや地域包括支援センターの職員などからの相談だった。
特に1人暮らしで認知症のお年寄りは、被害が周囲に伝わりづらく、契約した経緯も忘れてしまうことが多いため、悪徳業者のターゲットになりやすい。国民生活センターでは、認知症高齢者の自宅に、不審な契約書や請求書、宅配業者の不在通知などがないかなど、周囲の見守りポイントを公開し、注意を喚起している。(編集担当:北条かや)
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