NHK訴訟問題 未払い受信料に最高裁が時効5年判決

2014年9月23日 21:10

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記事提供元:エコノミックニュース

NHKの受信料について未払いの滞納分に対する訴訟判断が、初めて最高裁で下された。未払い金に対する債権の消滅時効は「5年」とされ、NHK側も今後はこれを基準に請求していくとした。

NHKの受信料について未払いの滞納分に対する訴訟判断が、初めて最高裁で下された。未払い金に対する債権の消滅時効は「5年」とされ、NHK側も今後はこれを基準に請求していくとした。[写真拡大]

 NHKの受信料をめぐり、未払いの滞納分について何年間まで請求できるか争われた訴訟で、9月5日最高裁判所の第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)が「時効は5年」とする初判断を下した。受信料の未払い金に対する債権は、民法の「1年以内に一定期間で金額を支払う定期給付債権」という定めに基づくとされ、消滅時効を「5年」とした形だ。NHKは、時効10年の「一般債権」に相当すると主張し上告していたが、棄却されることとなった。

 受信料の滞納金について起こされた同種の訴訟では、家賃のような定期的な「金銭債権」として時効を5年と考えるか、「一般的な債権」として10年を適用するかの判断が争点となっていた。NHKによると、受信料の滞納について起こされた訴訟のうち、判決が確定したものは今年8月末の時点で109件となり、すべて最高裁に持ち込まれる前に判決が確定している。このうち101件では「5年」の判決が下され、残り4件は「10年」となっていた。今回初めて最高裁判所にて判断が下され「5年」と言い渡されたことにより、NHKはこれからの対応について「今後も支払いが滞っている場合はすべての期間を請求の対象とし、時効については『5年』を基準に請求を行っていく」とした。

 NHKは受信料の支払いを求めて、訴訟を相次いで起こしている。支払いに応じない個人に対し、受信契約の締結と受信料の支払いを裁判所に訴えた件では、2013年6月に横浜地裁相模原支部で「契約締結を命じる判決が確定した段階で契約が成立する」という1審判決が下された。横浜地裁は受信者に対し、判決が確定した後に約10万9,000円を支払うよう命じたが、控訴によって持ち込まれた東京高裁ではさらに踏み込んだ判決が下された。同年10月30日、東京高裁の難波孝一裁判長は「NHKが契約を申し込んだ場合、受信者の承諾を得られなくても2週間が経過すれば契約として成立する」との判断を下し、受信料を即刻支払うよう言い渡した。

 今年5月に発表されたNHKの受信料の支払い率は前年度から1ポイント上昇し、74.8%となっている。訴訟を受けてNHK受信料の滞納は減少していくことが予想されるが、強硬手段も辞さない姿勢には批判の声も高まっている。意図的な滞納は許されることではないが、受信料の徴収基準を明確化することと、滞納者への対策についての見直しも今後必要なのではないか。(編集担当:久保田雄城)

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