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生産性向上の起爆剤 フレックスタイム促進の動き
日本生産性本部によると、2012年の日本の労働生産性は経済協力開発機構 (OECD)加盟34ヶ国中21位。主要7ヶ国の中では19年連続で最下位という低水準であることが分かった。労働力人口は減少を続けており、内閣府の調査では30年には現在の6,577万人より900万人少ない、5,683万人になると予測している。[写真拡大]
日本生産性本部によると、2012年の日本の労働生産性は経済協力開発機構 (OECD)加盟34ヶ国中21位。主要7ヶ国の中では19年連続で最下位という低水準であることが分かった。現在、日本の労働力人口は減少を続けており、内閣府の調査では30年には現在の6,577万人より900万人少ない、5,683万人になると予測している。限られた労働力でどれだけ高い付加価値を提供できるかが、今後の日本経済の存亡を握っていると言っても過言でない。
その中、ホワイトカラーエグゼンプション導入の議論も過熱している。07年に厚生労働省が、ホワイトカラーの生産性を高める狙いで、時間ではなく成果に応じて給与を支払うホワイトカラーエグゼンプション導入の法案成立を目指したが廃案となった。しかし16年の法案化を目指し、現在再び議論の俎上に乗っており、いくつかの企業では先行して導入することも検討されている。
しかし成果主義導入の失敗もあるように、成果を図る方法が不確かで、公平な査定が可能であるかどうか疑問は残る。また企業が、成果が出るまで労働者を長時間働かせ、実質的に安い賃金で使うことも懸念される。このような企業側に都合の良い法案であることが、ホワイトカラーエグゼンプション導入に労働者が賛成できない点だ。
一方で政府は、フレックスタイム促進の法改正を検討している。現在の導入5%から拡大させ、柔軟性のある働き方を目指す。フレックスタイム制とは、一定の枠内で始業・終業の時間を働く人が自由に決めることができる仕組みである。必ず出社しなければいけないコアタイムを設け、企業が労働者の労働力を調整をすることも可能だ。労働者の側にとっては、仕事の調整や提供する労働力を自己管理でき、主体性をもった働き方はできるようになる。介護や子育て中の人も労働時間の調整がしやすくなり、女性の労働参加を促すことにもなるだろう。
いまだに付き合い残業や、長時間働くことが美徳される風潮のある日本。労働力の生産性を高めるために、まずは労働者の自由な裁量を増やし、その能力を適切に発揮させる環境を整備するのが先決ではないだろうか。その第一歩に、フレックスタイム制の促進がある。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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