【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】17日の米FOMC声明とイエレンFRB議長の記者会見が最大の焦点、乱高下の可能性

2014年9月14日 12:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 3連休明け9月16日~19日の株式・為替相場は、16日~17日に米FOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、17日の会合後に発表されるFOMC声明とイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見で、早期利上げのフォワードガイダンスが示されるかどうかが最大の焦点となる。米金利が上昇ペースを速めた場合の米国株の動向も焦点であり、外国為替市場も株式市場も仕掛け的な動きで乱高下する可能性がありそうだ。

 外国為替市場では08年9月以来となる1ドル=107円30銭台までドル高・円安が進行している。米FRBの早期利上げ観測で一段とドル買いの動きを強め、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外貨建て資産投資増額観測、日銀の追加緩和観測も円売り材料視されている。このため17日のFOMC声明やイエレン米FRB議長の記者会見で早期利上げのフォワードガイダンスが示されれば、ドル高・円安の流れが一段と加速する可能性があるだろう。

 日本株ではTOPIXが10日に取引時間中ベース、終値ベースとも年初来高値を更新したのに対して、日経平均株価は3日~9日の5連続陰線で上値の重い展開だった。ただし11日に終値で1万5900円台に乗せ、12日の取引時間中には1万6000円に接近する場面があった。ドル高・円安の流れが一段と加速すれば日経平均株価にも弾みがつき、13年12月30日の取引時間中の高値1万6320円22銭を試す可能性があるだろう。

 ただし米10年債利回りが12日に2.6%台まで上昇したとはいえ、外国為替市場での急速なドル買いの動きに後追いした印象も強い。足元のドル買いの動きは、日米金利差拡大でドル高・円安進行という中期シナリオに乗った動きというよりも、マクロ系ヘッジファンドの仕掛け的な動きとの見方もあるだけに、17日のFOMC声明やイエレン米FRB議長の記者会見が早期利上げに慎重な姿勢であれば、ドル買い・円売りポジションが急速に巻き戻される可能性もあるだろう。ドル・円相場は乱高下の可能性があり1ドル=105円台~109円台を想定する。

 日本株については、7~9月期実質GDP回復ペース鈍化が懸念され、15年10月予定の消費増税第2弾(8%から10%へ引き上げ)実施を危ぶむ見方も優勢になってきた。政策期待でアベノミクス第2章スタートとの見方もあるが、国内要因を評価する動きが本格化してきたとは言い難い状況だけに、引き続きドル・円相場と米国株の動向次第だろう。

 17日のFOMC声明やイエレン米FRB議長の記者会見で早期利上げのフォワードガイダンスが示されれば、ドル高・円安が一段と進行して日本株の上昇にも弾みがつくことが期待されるが、一方では米金利上昇で米国株が調整色を強める可能性があり、この場合の日本株がドル高・円安と米国株調整のどちらに反応するのかが注目される。

 また日経平均株価、TOPIXとも12日まで5営業日続伸し、東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)が12日時点で131.37%まで上昇して目先的な過熱感を強めてきただけに、外国為替市場でドル買い・円売りポジションが巻き戻されれば、仕掛け的な動きで一旦は調整局面の可能性があるだろう。

 この他の海外要因では、ウクライナやイスラム国を巡る地政学リスク、18日のスコットランド独立の是非を問う住民投票の結果が警戒される。国内要因では、7~9月期の実質GDP回復ペースの鈍化が懸念材料だが、安倍改造内閣の政策、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の改革、そして日銀の追加緩和への期待感が引き続き支援材料とされるだろう。

 物色面では、ドル高・円安が一段と進行すれば輸出関連主導となり、トヨタ自動車<7203>の年初来高値更新が焦点となる。米アップル関連も注目されそうだ。また、12日に理化学研究所と先端医療振興財団が世界で初めてiPS細胞を使った患者への移植手術を実施したことでiPS再生医療関連やバイオ関連、さらに18日から東京ゲームショウが開催されるためネット・ゲーム関連への関心も高まりそうだ。

 ドル高・円安進行で資金が東証1部市場の大型株へシフトしたため、東証マザーズ指数は8月26日の取引時間中の戻り高値993.48から9月10日の取引時間中の直近安値926.70まで調整した。ただし11日のIPO再開も刺激材料となった形で、11日と12日は終値で950台に戻している。新興市場の主力銘柄にも切り返しの動きが見え始めただけに、個別材料物色だけでなく、新興市場全体にテーマ物色が広がる可能性があるだろう。

 その他の注目スケジュールとしては、15日のユーロ圏7月貿易収支、米8月鉱工業生産・設備稼働率、米9月NY州製造業業況指数、16日の独9月ZEW景気期待指数、米8月卸売物価指数、第69回国連総会開幕、17日の米4~6月期経常収支、米8月消費者物価指数、米9月住宅建設業者指数、18日の日本8月貿易統計、中国8月新築住宅価格、ECB(欧州中央銀行)新型長期オペ「TLTRO」第1回実施、米8月住宅着工件数、米9月フィラデルフィア地区連銀業況指数、19日のユーロ圏7月経常収支、米8月コンファレンス・ボード景気先行指数などがあるだろう。

 その後は、9月20日~21日のG20財務相・中央銀行総裁会議、26日の米4~6月期GDP確報値、10月2日のECB理事会、3日の米9月雇用統計などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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