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【小倉正男の経済羅針盤】Jリートと私募リート
■Jリートは12兆円マーケットに成長
Jリート(=上場不動産投資信託)は、高い利回りが得られるところが一般的な特色とされてきている。配当、すなわち分配金を得るために期末に狙うジャンルと思われてきた。
しかし、このところインフレに強い金融商品という思惑から「期末だけの商品」(銘柄)ではなくなってきている模様だ。
実際にインフレになっているとは思えないが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革への期待などが重なっている。実物の不動産を持つわけではなく、高い利回りを得られるということで運用先として脚光を浴びているわけだ。
Jリートが、日本に登場したのが2001年というのだから、「リート後発国」というか、馴染みはまだまだである。
それはともあれ、Jリートは現状40銘柄、12兆円のマーケットに成長を見せている。
Jリートは、リーマン・ショック時などは不動産関連商品ということで酷い暴落を経験した。そんな経験もしながらだが、いまや12兆円マーケットと過去最高を記録しているというのである。
■非上場の私募リートにも情報開示を促す
そんななかで私募リート(非上場不動産投資信託)も急成長している模様だ。私募リートは8銘柄、市場規模は7000億~8000億円の現状と見られる。内外の機関投資家向けのマーケットである。
リート専門の情報サイトを運営する東間大・ジャパンリート代表取締役は、「私募リートは(将来的には)20銘柄、6兆円規模のマーケットに拡大する」と見通しを語っている。
私募リートは、Jリートとは異なり、株式市場の変動リスクを回避できるメリットがある。だが、私募リートはマーケットでの歴史も浅いだけに、情報面で「透明性」が不十分というネックがあった。
私募リートは、情報開示に問題が残っている。「透明性が必要だ。情報をできるだけオープンにしていく」(東間氏)。情報がなければ、マーケットは大きくならない。東間氏としては、私募リートのサイトを新稼動させて、情報の「透明性」アップに挑戦するとしている。
■不動産はロケーション(場所)で価値が決まる
不動産の価値は、その不動産が生み出す利回りで決まる――。これはリートという商品の根幹だが、「不動産バブル」以前の日本にはまったくなかった価値尺度だった。 アメリカの不動産業界では、「不動産は第一にロケーション(場所)」といわれる。では、第二、第三には?「第二はロケーション」「第三はロケーション」というジョークがある。 結局、すべては「ロケーション」でそれぞれの価値が決定される。
ニューヨークの五番街のオフィスビル、店舗、ホテル、マンションだから、高い賃料(利回り)が取れる。だから、価格が高い――。
リートは利回り商品だから、それ自体が「不動産バブル」を回避する作用を持つ一面があるとされている。しかし、それでもリーマン・ショックのようなことが起こる。 妙な結びで恐縮だが、世の中、単純にはいかないということか・・・。
(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』(PHP研究所刊)など著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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