東大、巨大小惑星の衝突を観測

2014年8月31日 22:04

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今回の観測データから推察される小惑星の衝突の想像図。ダストの増加量から直径100〜1000km の小惑星がさらに大きな小惑星に秒速15〜18kmで衝突して砕け散ったと計算されている(Kavli IPMU)

今回の観測データから推察される小惑星の衝突の想像図。ダストの増加量から直径100〜1000km の小惑星がさらに大きな小惑星に秒速15〜18kmで衝突して砕け散ったと計算されている(Kavli IPMU)[写真拡大]

 東京大学のウィプー・ルジョーパカーン特任研究員らによる研究グループは、2つの巨大な天体が激しく衝突してできた塵が爆発的に増大することを観測するのに成功した。

 星は、宇宙空間を漂う塵が集まり、それらが衝突を繰り返しながらできていくと考えられており、例えば、地球と同じサイズの星は約1億年かけて成長することになる。

 今回の研究では、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を使い、ある地球から約1200光年離れたNGC 2547星団内にある、約3500万歳の若い恒星の赤外線観測を定期的におこなったところ、突然塵の量が劇的に増加したことを発見した。

 研究メンバーは、「突然のダストの増加は、二つの巨大な小惑星が衝突したためだと考えられます。衝突によって細かな砂粒くらいの粒子が雲をつくり、その後粒子同士が衝突を繰り返してさらに細かくなり、ゆっくりと恒星から離れて行った様子もわかりました」とコメントしており、地球のような岩石惑星が作られる際に起きる劇的な現象を初めてリアルタイムで観測することに成功したと言える。

 今後は、本研究成果によって惑星形成のメカニズム理解が進むと期待されている。

 なお、この内容は8月29日に「Science」に掲載された。

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