京大、iPS細胞から肺胞上皮細胞を分化誘導し、単離する方法を開発

2014年8月25日 18:32

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(左)II型肺胞上皮細胞に分化するとGFPが光るヒトiPS細胞を作成し、3次元培養で光ることを証明した。(右)GFP陽性細胞と陰性細胞をそれぞれ単離するとGFPとSFTPCが高い一致率であることがわかった(京都大学の発表資料より)

(左)II型肺胞上皮細胞に分化するとGFPが光るヒトiPS細胞を作成し、3次元培養で光ることを証明した。(右)GFP陽性細胞と陰性細胞をそれぞれ単離するとGFPとSFTPCが高い一致率であることがわかった(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の三嶋理晃教授らによる研究グループは、ヒトiPS細胞から肺胞前駆細胞へ分化させ、ヒトiPS細胞由来の肺胞上皮細胞を単離する方法を世界で初めて開発することに成功した。

 再生医療などに使用するための細胞は、ヒトiPS細胞から分化誘導させる必要があるが、これまでは誘導の効率が悪く、課題となっていた。

 今回の研究では、CPMと呼ばれる表面蛋白質によって肺胞前駆細胞を単離濃縮が可能であることを明らかにし、実際にCPMを使って単離した肺胞前駆細胞を3次元培養することで肺胞上皮細胞を分化誘導し、GFPを使ってII型肺胞上皮細胞を単離できることも示した。

 研究メンバーは、「ヒトiPS細胞からII型肺胞上皮細胞の分化誘導と単離というプロセスが確立したことで、これまで難しかったヒトの細胞を使った肺の再生研究やさまざまな難治性疾患の研究に踏み込める大きなチャンスが到来したと考えております」とコメントしている。

 なお、この内容は8月21日に「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。

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