京大の山中教授ら、iPS細胞作成にレトロウイルスが関わっていることを明らかに

2014年8月8日 20:37

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iPS細胞の樹立過程および分化能におけるHERV-Hの役割を示す図(京都大学の発表資料より)

iPS細胞の樹立過程および分化能におけるHERV-Hの役割を示す図(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の山中伸弥教授らによる研究グループは、iPS細胞の作成と分化に、内在性レトロウイルスが深く関わっていることを明らかにした。

 iPS細胞の中には、他の細胞へ分化する能力が低い分化抵抗性iPS細胞と呼ばれるものがあるが、なぜそのようなiPS細胞が生じるのかは解明されていなかった。

 今回の研究では、まず進化の過程でヒトゲノムに組み込まれた内在性レトロウイルスHERV-Hが初期化の途中で増加していることを発見した。さらに、分化抵抗性iPS細胞では、初期化因子の一つであるKLF4の異常な活性がHERV-Hの活性を引き起こし、分化抵抗性の引き金になっていることを突き止めた。

 山中教授らは「初期化やiPS細胞の分化抵抗性のメカニズムを理解する上で、今回の研究は大変意義深い。今後の研究で、iPS細胞へのさらなる理解を深めたい」とコメントしている。

 なお、この内容は米国科学誌「PNAS」オンライン版に掲載された。

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