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マイナス金利日本へ飛び火 それでも続く国債依存
7月10日、新発3カ月物の国庫短期証券(短期国債)の利回りが証券会社などの業者間取引で一時マイナス0.002%となり、初めてのマイナスをつけた。入札での平均落札利回りこそ0.0182%とマイナスにはならなかったが、2006年2月以来、8年5カ月ぶりの低い水準だった。[写真拡大]
「いよいよ日本にもマイナス金利が飛び火した。」。7月10日、新発3カ月物の国庫短期証券(短期国債)の利回りが証券会社などの業者間取引で一時マイナス0.002%と、初のマイナスをつけた。入札での平均落札利回りこそ0.0182%とマイナスにはならなかったが、2006年2月以来、8年5カ月ぶりの低い水準だった。欧州中央銀行(ECB)は6月5日、金融機関がECBに預ける余剰資金に手数料を課す「マイナス金利」政策を決めたが、いよいよ日本もマイナス金利に突入するのだろうか。
実際にマイナス金利が成立したのは特殊な状況の下でのことだ。今回は3カ月物の短期国債の売買で投資家の人気が過熱。財務省の入札の競争率が過度に高くなり、証券会社があらかじめ投資家から受けていた注文分を入札で確保できない恐れが生じた。証券会社は損を覚悟して高い価格で国債を確保する取引をしたために一時的にマイナス金利が成立したにすぎない。それでも7月に入り、短期国債の金利低下が目立つのは事実だ。4日に新発3カ月物で利回りがゼロ%になり、8日には新発6カ月物でゼロ%の取引が成立した。
誰が国債を買っているのか。地方銀行の有価証券運用残高は増加傾向にあり、14年3月期は90兆円を超えている。けん引役が約40兆円を占める日本国債だ。業務粗利益に占める有価証券の運用益は20%を超えている。銀行が自己資本比率を計算する際、日本国債はルール上「リスクゼロ」と扱う。金利が上昇すれば価格が下落するが、値動きを無視できるルールになっている。地域経済の冷え込みで中小企業融資を増やせないなか、地方銀行は手っ取り早く稼げる国債の購入に動いている。それが銀行の国債依存を招いている背景だ。
地銀の役割は、集めた預金を国債など有価証券に振り向けて運用することではない。リスクがゼロで安全だから。そして日銀が買ってくれるから日本国債を中心に運用する、というあり方は一種のモラルハザードだ。欧州債務危機は「政府債務も絶対安全な資産ではない」との事実を突きつけた。それでも大半が国内投資家が保有している日本国債の暴落はあり得ないとの楽観論が主流を占めていることに薄ら寒さを感じずにはおれない。(編集担当:久保田雄城)
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