金やウランは中性子星の合体で作られた可能性が高いことが明らかに

2014年7月18日 14:53

印刷

スーパーコンピューターによる中性子星合体の数値シミュレーション。左は2つの中性子星の合体の瞬間、右は合体から8ミリ秒後の様子を表す。上は物質の密度の対数値(g/cc)、下は物質中の中性子の割合(%) を表す。右下の黄色からオレンジの渦状部分で金やウランなど、青から水色の部分で銀やレアアースなどがつくられる(理化学研究所の発表資料より)

スーパーコンピューターによる中性子星合体の数値シミュレーション。左は2つの中性子星の合体の瞬間、右は合体から8ミリ秒後の様子を表す。上は物質の密度の対数値(g/cc)、下は物質中の中性子の割合(%) を表す。右下の黄色からオレンジの渦状部分で金やウランなど、青から水色の部分で銀やレアアースなどがつくられる(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • 観測による太陽系重元素組成と数値計算による重元素組成を比較した図。元素分布を質量数の関数として表す。例えば、銀は107、109、レアアースは約140~180、プラチナは192、 194~196、 198、金は197、ウランは235、 238など(理化学研究所の発表資料より)

 理化学研究所と京都大学による研究グループは、金やウランなどの重い元素は、中性子星が合体した時に作られた可能性が高いことを明らかにした。

 ビッグバンによって宇宙ができた当初は、水素やヘリウムだけの軽い元素しか存在していなかったが、星の中の核融合反応によってさらに重い元素が作られた。しかし、鉄よりも思い元素はどのようにしてできたのかが解明されていなかった。

 今回の研究では、スーパーコンピュータによって2つの中性子星が合体するシミュレーションをおこなったところ、合体の際に放出される物質には中性子が多く含まれているため、鉄よりも思い元素が次々と作られることが明らかになった。さらに、シミュレーションによって得られた重元素組成は太陽系での実際の観測値を再現しており、中性子星合体によって金やウランが作られた可能性が高いと言える結果となった。

 今後は、岐阜県の神岡鉱山に建設中の「KAGRA(かぐら)」をはじめする次世代重力波検出装置によって、1年に数回発生する中性子星合体を直接観測することが期待されている。

 なお、この内容は米国科学雑誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。

関連記事