広島大など、小惑星ベスタ由来の隕石から高圧鉱物を発見 天体衝突史の解明に期待

2014年7月16日 15:12

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ベスタの表層部に由来すると予測されているユークライト隕石の1つ(Béréba隕石)から発見されたシリカの高圧相、コーサイトの電子顕微鏡写真。

ベスタの表層部に由来すると予測されているユークライト隕石の1つ(Béréba隕石)から発見されたシリカの高圧相、コーサイトの電子顕微鏡写真。[写真拡大]

 広島大学の宮原正明准教授らによる研究グループは、小惑星ベスタから飛来したと考えられているHED隕石から高圧鉱物を世界で初めて発見した。

 ホワルダイト隕石・ユークライト隕石・ダイオジェナイト隕石という3つの種類の隕石を総称してHED隕石と呼んでおり、その反射スペクトルから、火星・木星間を公転する小惑星ベスタ(大きさ約460~58km)から飛来したと考えられている。NASAの探査機によってベスタにはクレーターが存在することが分かっており、天体衝突を起こしていたと考えられているが、その際に形成されるであろう高圧鉱物はHED隕石から見つかっていなかった。

 今回の研究では、ユークライト隕石を電界放射走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて詳しく調べたところ、岩石の一部が溶けた衝撃溶解脈の内部と周辺で、シリカが高圧相のコーサイトとスティショバイトに変化していることが明らかとなった。さらに、放射年代学の研究を考慮することで、この変化が起きたのは約41億年前であるとも判明した。

 今後は、HEDだけでなく様々な隕石の天体衝突の痕跡を調べることで、太陽系内の天体衝突史を解明していくことが期待されている。

 なお、この内容は7月15日に「米国科学アカデミー紀要」電子版に掲載された。

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