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東急東横線沿線住民がそっぽを向いた「渋谷駅」 JR渋谷駅利用客激減が意味するコトは?
JR渋谷駅の利用客激減は東京メトロ副都心線と東急東横線の相互乗り入れが影響した。同様に副都心線に乗り入れる西武池袋線、東武東上線の影響でJR池袋駅の利用客も減少した。[写真拡大]
東日本旅客鉄道(JR東日本)が2013年度の乗車実績/駅利用客数を発表した。発表によると昨年3月に運用がスタートした東急東横線と東京メトロ副都心線の相互乗り入れ、直通運転がJR山手線に大きな影響を与えたことが分かった。
東急東横線と東京メトロ副都心線を結んで繋がる西武池袋線、東武東上線によって池袋・渋谷間の人の流れが大きく変わったのだ。つまり、東横線沿線住民が横浜方面から東京都心に出る際に、渋谷で下車してJR山手線に乗り換える人、あるいはJRから渋谷で東横線に乗り換える人が激減した。その数、年間の1日平均37万8539人で前年比91.9%。何と1日に3万人以上もJR渋谷駅利用者が減ったわけだ。
つまり、渋谷ヒカリエの地下5階の真横にある東横線渋谷駅ホームから地上3階に及ぶ山手線渋谷改札までの数分以上も延々歩かなければならない移動に利用客がそっぽを向いたということ。昨年3月までの旧東横線渋谷駅なら改札を出て左の階段を20数段昇ればJRの改札だった。
また、これまで東横線を使って横浜まで出かけていた東京都民は、東急東横線を使わずに、速くて快適なJR湘南新宿ラインを利用することが多くなった。どうしても東横線を使わなければいけない場合は、渋谷駅の深すぎる地下駅・ホームを避けて別の駅から乗車する。筆者の場合は、丸の内線が接続する新宿三丁目で乗り換えることが多くなった。人によっては恵比寿から東京メトロ日比谷線で中目黒を経由したり、同じ東急の目黒線を使っているようだ。こう考えると、JR渋谷駅利用客が減った訳ではなく、東急電鉄渋谷駅利用者が減ったと見るべきだろうか。
同じような理由でJR池袋駅の利用客も前年比99.3%と微減している。利用客10位までの首都圏JR駅で利用客が減少したのは、渋谷と池袋だけ。つまり、山手線の渋谷・池袋間の利用客が減ったことを意味し、実際に前年に比べて山手線全体で0.02%減少したという。
つまり、東急東横線を利用する東京中央区/港区/千代田区への通勤客の多くは、少なくとも渋谷駅で乗り換えることを止めた。これまで渋谷で地下鉄銀座線などに乗り換えていたユーザーは、東横線・中目黒駅で降りて隣のホームの地下鉄日比谷線に乗り換える。あるいは明治神宮前まで乗り過ごして地下鉄千代田線を利用する。はたまた、新宿3丁目まで行って地下鉄丸ノ内線で赤坂見附や霞ヶ関を目指す。同じことは西武池袋線、東武東上線利用客にも当てはまる。
また、東横線沿線住民はブランド意識が強いとされ、ある意味で“ヨコハマ”ブランドに住むために東横線沿線を選んだ住民である。沿線住民はファッションなども高級志向だ。そんな住民にとって現在の子供じみた渋谷の街は必要ない。週末のオシャレな買い物はヨコハマで十分。もっとオシャレしたいのなら、東横線の渋谷駅を乗り越して「明治神宮前」で降りて表参道でルイ・ヴィトンやグッチ、シャネルなどの世界の一流ブランドを購入する。その方が満足度は高い。
一方、首都圏のJR駅で利用客が2ケタ以上上昇したのが中野駅だ。中野駅は昨年1年間で利用客が1万3000人増え、13万8467人となった。前年比110.8%である。この理由は明白で、北口再開発で、明治大学2学部と帝京平成大学3学部が警察大学校(旧陸軍中野学校)跡地に進出。加えて、キリン・ホールディングスの本社機能と同グループの一部が移設した結果だ。中野には今年度中に早稲田大学の一部も加わり、利用客はさらに増加する。(編集担当:吉田恒)
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