京大、ウラン化合物の相転移による対称性変化を明らかに

2014年6月24日 10:23

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X線回折ピークの温度変化を示す図。青線は従来の純良でない試料。丸印は今回の超純良試料の結果。隠れた秩序相転移温度より高温(黒丸)では単一のピークであるのに対し、低温では二つのピークに分裂する様子が観測された。(京都大学の発表資料より)

X線回折ピークの温度変化を示す図。青線は従来の純良でない試料。丸印は今回の超純良試料の結果。隠れた秩序相転移温度より高温(黒丸)では単一のピークであるのに対し、低温では二つのピークに分裂する様子が観測された。(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の笠原成助教らによる研究グループは、ウラン化合物URu_2Si_2がマイナス256℃の温度で相転移する際に起きる対称性の変化を明らかにした。

 ウラン化合物URu_2Si_2は、電子同士の相互作用が強い「強相関電子系」の物質として知られており、およそマイナス256℃で状態が変化(相転移)することが分かっている。その際に結晶構造が菱形状の対称性(90度回転させると変化するが180度回転させると変化がない)を示すと考えられていたものの、直接観察はされていなかった。

 今回の研究では、大型放射光施設SPring-8で従来よりも分解能が10倍高いX線回折測定をおこない、低温下では碓かに菱形状の秩序を持っていることが明らかになった。

 研究メンバーは、「今後なぜこのような相転移が起こるかを明らかにすることにより、物質中の電子が示す新しい状態の理解へとつながることが期待されます」とコメントしている。

 なお、この内容は、6月19日に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。

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