世界初、植物内のセシウム分布を可視化することに成功 除染植物の開発に期待

2014年6月17日 21:51

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シロイヌナズナ子葉の蛍光イメージ(セシウムグリーンメタノール溶液滴下)。細胞内の液胞と考えられる部位から明るい蛍光が観測された(物質・材料研究機構の発表資料より)

シロイヌナズナ子葉の蛍光イメージ(セシウムグリーンメタノール溶液滴下)。細胞内の液胞と考えられる部位から明るい蛍光が観測された(物質・材料研究機構の発表資料より)[写真拡大]

 物質・材料研究機構の小松広和研究員・有賀克彦主任研究者らによる研究グループは、セシウムを吸収した植物内の細胞内分布の可視化に世界で初めて成功した。

 福島第一原発事故が起きてから、土壌や水中の放射性セシウムの除染法として植物に吸わせる方法が注目されている。しかし、植物細胞内でのセシウムの輸送や蓄積に関するメカニズムはほとんど解明されてこなかった。

 今回の研究では、シロイヌナズナを高濃度炭酸セシウムを含む培地で育成させ、セシウムグリーンと呼ばれる蛍光プローブ(特定の物質と反応して光る分子)によってその分布を可視化することに成功した。また、蛍光顕微鏡によって詳細を観察したところ、セシウムは子葉の細胞内の液胞に蓄積される傾向があることも明らかとなった。

 この研究成果は、セシウムの植物への輸送・蓄積メカニズムの解明や、セシウムを除染する植物の選別や品種改良に役立つと期待されている。

 なお、この内容は米化学会誌「ACS-Applied Materials & Interfaces」に掲載された。

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