NIBBなど、運動に関する脳神経細胞の学習メカニズムを明らかに

2014年6月7日 00:02

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新しい運動の練習を続けると、大脳皮質運動野第5層で、予測精度情報量を高める細胞(黒丸)が増え、より効果的に脊髄に信号を送る新しい神経回路(赤囲み)ができ、練習した運動が熟練化する(自然科学研究機構の発表資料より)

新しい運動の練習を続けると、大脳皮質運動野第5層で、予測精度情報量を高める細胞(黒丸)が増え、より効果的に脊髄に信号を送る新しい神経回路(赤囲み)ができ、練習した運動が熟練化する(自然科学研究機構の発表資料より)[写真拡大]

  • 研究グループの松崎政紀教授(左)、正水芳人研究員(中)、田中康裕研究員(右)(自然科学研究機構の発表資料より)

 自然科学研究機構(NIBB)の正水芳人研究員らによる研究グループは、運動を学習する際の脳神経の活動メカニズムを明らかにした。

 ヒトを含む動物は、運動を繰り返すことで学習、上達することが知られている。その時、大脳皮質の浅層で起きている脳細胞の変化については既に明らかになっていたものの、深層を長期間に渡って計測することは実現されてこなかった。

 今回の研究では、組織内の細胞を生きたまま観察することができる2光子顕微鏡を使った測定法をさらに進化させ、マウスの運動野を浅層から深層まで2週間に渡って測定する手法を開発した。

 マウスを、レバーを引くと水がもらえる条件下で測定を続けたところ、深層では運動学習が進んでくると、その運動を細胞活動パターンとして保持することや、大脳基底核と一緒に記憶回路を形成して運動を自動化していることが明らかになった。

 この研究成果は、運動疾患の解明や人工知能・ロボットの開発に応用できると考えられている。

 なお、この内容は6月2日に「Nature Neuroscience」に掲載された。

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