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産総研、高密度なカーボンナノチューブの森を作成するための仕組みを解明
SPring-8でのカーボンナノチューブの“森”の成長実験の結果。(a)で、基板の上にある絨毯の毛のような部分が、カーボンナノチューブの“森”。無数のカーボンナノチューブが、基板の表面に対して垂直に並んでいる。(産業技術総合研究所の発表資料より)[写真拡大]
高輝度光科学研究センター(JASRI)と産業技術総合研究所による共同研究グループは、高密度なカーボンナノチューブがブラシ状に揃った束(カーボンナノチューブの森)を作成する仕組みを解明した。
カーボンナノチューブは様々な用途が考えられているが、その中の一つが冷却物質としての利用だ。現代社会では、パソコンやスマートフォンなどの情報機器が広く普及しているが、これらを効率よく冷却する方法が求められている。
しかし、カーボンナノチューブは太さが1~数十ナノメートル程度しかないため、別の物質の上にブラシ状に並べて森のようにする必要がある。以前は、アルミナの上に鉄の粒子を作り、その上にナノカーボンチューブを生成させていたが、800℃まで温度を上げる必要があった。これを、産総研の研究グループが既に、鉄の下にチタンを敷くことで、450℃で高密度なカーボンナノチューブの森を作れる技術を開発している。しかし、その仕組みについては明らかになっていなかった。
そこで、今回の実験では、Pring-8のビームラインの分析装置を使って、450℃で高密度なナノカーボンチューブの森を生成できる仕組みを調べたところ、450℃以下の低温化で鉄が還元され、チタンが酸化されることが分かった。低温化でこの反応が起きることによって、鉄の粒子は高い密度で並び、結果としてカーボンナノチューブの森も高密度になることが明らかになった。
今後は、さらに小型化するであろう情報端末で、本研究成果を応用した冷却材料が活用できるのではないかと期待される。
この研究成果は、5月22日にオープンアクセスジャーナル「IUCrJ」にオンライン掲載された。
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