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利己主義者はサルも嫌い…マーモセットが高い他者認知能力を持つことが明らかに
サルが演技者から食物を受け取った割合を示す図。非互恵的条件(図の右側)では、マーモセットは食べ物を渡さなかった人間(A)から食物をもらうのを避ける傾向が見られた。 [写真拡大]
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)と名古屋大学による研究グループは、サルの一種であるマーモセットが第三者の互恵性を評価していることを明らかにした。
「互恵性」とはお互いに協力し合い利益を与え合うことを指している言葉で、ヒト以外にも多くの霊長類が互恵性を持っており、相手から受けた行為にお返しをするといった行動が観察されている。しかし、自分と関係のない第三者同士の互恵性を評価するかどうかは分かっていなかった。
今回の研究では、体重わずか300g程度のサル「マーモセット」による実験をおこなった。マーモセットの目の前で二人の人間が食べ物を交換する場面(互恵的条件)と、一方の人間は食べ物を渡すがもう片方は渡すのを拒否する場面(非互恵的条件)を見せ、それぞれの場面を見せた後に人間からマーモセットに食物を渡してみた。すると、マーモセットは非互恵的条件で食べ物を渡さなかった人間から食物をもらうのを避ける傾向が見られた。これは、マーモセットが日常生活の中で第三者の互恵性を評価していることを示している。
マーモセットがこのような性質を持っていることは、互恵性を判断する他社認知能力は大きな脳や優れた記憶力によるものではないと考えられ、この研究成果はヒトの社会的知性を解明したり、自閉症や発達障害の脳機能解明に向けた一助となると期待されている。
この研究結果は、5月21日に『Biology Letters』オンライン版に掲載された。
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