九州大など、月探査機「かぐや」で40億年前の月は地軸がずれていたことを解明

2014年5月8日 17:30

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過去の月の磁極を現在の月北極側から見た図。青い星印はかぐや衛星データによる結果。赤い星印はルナ・プロスペクタ衛星データによる結果。Takahashi et al. (2014) の図から一部改編

過去の月の磁極を現在の月北極側から見た図。青い星印はかぐや衛星データによる結果。赤い星印はルナ・プロスペクタ衛星データによる結果。Takahashi et al. (2014) の図から一部改編[写真拡大]

  • 過去と現在の月の北極と南極の位置を示す図。

 九州大学の高橋太准教授と東京工業大学の綱川秀夫教授らは、月探査機「かぐや」による月磁場の測定によって、40億年前の月には磁場が存在していたこと、そしてその磁極は現在の自転軸の極とは異なる位置にあることを明らかにした。

 現在の月には、地球のような大規模な磁場は存在しない。しかし、これまでに月から採取した岩石の調査によって約40年前には磁場が存在していたと言われている。

 高橋准教授らによる研究チームは、今回、日本の月探査機「かぐや」などによって計測された月の磁気異常(局所的に磁場が強くなっていること)のデータを使い、初めて広地域に渡る月の磁極推定をおこなった。その結果、現在の自転極付近と、自転極とは異なる場所の二箇所に磁極が集中していることが明らかになった。

 通常、磁極は自転極の位置はほぼ一致するという性質があり、今回の研究結果から昔の月は地軸が今とは異なり、地球に向けている面もずれていたと考えられる。

 研究チームは、今回の発見について、新しい地球・月システム進化のモデル構築や新しい月探査計画に寄与することが期待されるとしている。

 本研究成果は、5月4日に英国国際学術誌『Nature Geoscience』オンライン版で公開された。

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